語りかける声 ページ31
静かに近寄ってくる看護師。
*「状態も安定していますので中にお入りになりますか?」
ドンヘは微笑むと小さく頷いた。
手渡されるマスクを付けるとICUの中へと入る。
外よりずっと胸を締め付けるような呼吸器と心電図の音が大きく感じられた。
穏やかに上下する胸。
ドンヘはAを見下ろしてそっと指先で頬を撫でた。
DH「A…。」
布団から覗いている手を軽く握るとベッドの端に腰を下ろす。
DH「今日は……凄いいい天気だよ……。」
小さな手の暖かさと感触を確かめるように何度も握り直した。
DH「なぁ…A…。目を覚ましたら…おじさんとおばさんのところへ行こう…。」
綺麗な海を見ながら…
心地よい潮風に吹かれながら…
二人はもう大丈夫って…
報告しに行こう…
DH「おじさんとおばさんなら…きっと喜んでくれる…。」
反応しないと分かっていながらドンへはAに話しかけた。
DH「Aがいない間…俺…あそこへ行ったんだよ…。」
おじさんとおばさんに…
泣き言を聞いてもらいに…
DH「おかしいだろ?返事なんか貰えるはずもないのにさ…。」
でも…
俺の肌を撫でる風は…
凄く優しくて…
小さい時…
良く抱いてもらった…
おばさんの腕の中みたいだった…
DH「俺は…もう大丈夫だから…。何があっても…もう迷わないと誓える…。」
明るい声を出しているのに頬をぬらす涙。
静かに伝うと握っているAの手の甲に落ちた。
DH「俺が一番…迷ったり悩んだりしちゃいけなかったんだ…。」
だから…
Aまで悩んだり…
迷って…
俺たちは…
随分長い事離れ離れで…
DH「辛かったよな……苦しかったよな……。俺が……そうさせてたんだ…。」
ごめんな…
A…
お前が許してくれるまで…
何度でも謝るよ…
自然と泣き顔へと変わっていく表情を一生懸命笑顔に戻そうとしていた。
DH「でも…もう何も心配いらない…。俺がちゃんと……お前を守るから……。だから…。」
握っていた小さな手を唇に押し当てた。
だから…
だから…
A…
俺を信じて…
もう一度信じて…
DH「早く……戻って来い………。」
ここに…
俺のところに…
我慢しきれなくて静かに泣き出してしまうドンへ。
ICUのガラス越しにそれを見ていたウニョクは口に手を当てて顔を逸らすと、たまらずその場を後にした。
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ゆちょみん(プロフ) - あやさん» 気持ちが高まっていく感じが自分でも好きです。なのに突然辛くてみたいな。お話の中だからこそっていうのもありますよね。実は次回作ももう書いてます。まずはこの切ない恋の行方を完結させますのでどうぞ最後までお付き合い下さいませ^^ (2017年3月1日 20時) (レス) id: 2956dc90c7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちょみん(プロフ) - みきさん» 油断大敵です!(笑 でも楽しんでくださっていて本当に憂いしいです^^ (2017年3月1日 20時) (レス) id: 2956dc90c7 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - こんにちは、いつものゆちょみんWorld!!はぁもう、きゅんとなって、シクシクして、このアップダウン大好きです。早くドンヘの胸に戻って欲しいなぁと思いつつもお話が終わってしまうのは寂しいので、それまで堪能させて頂きます♪ (2017年3月1日 18時) (レス) id: 152a7803ba (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - ゆちょみんさん» 最近のお話は幸せな展開が多かったので油断してました〜涙 気長にいつまでも待ちます! (2017年2月27日 21時) (レス) id: cd9810eca3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆちょみん(プロフ) - みきさん» 私のお話はいつもこんな遠回りを繰り返してます。ハラハラしてください!続きはまた明日^^ いつもコメント感謝です! (2017年2月27日 0時) (レス) id: 2956dc90c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆちょみん | 作者ホームページ:http://ameblo.jp/yuchuming
作成日時:2017年2月25日 20時