迷い ページ31
小さな花屋の朝は忙しい。
仕入から戻って来た亜子と手分けして店の中に並べていく。
『ふぅ…。』
Aはエプロンで手を拭くと、整った店の中を見渡してシャッターを開ける。
ｱｺ『A、もういいから支度しなさい。』
『あ、うん。』
昨日の晩の亜子の顔が気になっていたA。
様子を伺う様な視線を投げる。
それに気づく亜子はニッコリ笑った。
ｱｺ『いいわねぇ、デートなんて。』
花の入ったバケツをショーケースの中に入れる。
ｱｺ『バラの子でしょ？』
『うん…。』
ｱｺ『昔、姉さんから聞いた事があるの。Aをお嫁にするって言ってる子がいるって。』
『あ。』
ｱｺ『あの子でしょ？』
『うん…。』
ｱｺ『私は大賛成よ。』
Aに顔を寄せて小声で言う。
ｱｺ『なんせハンサム。』
クスッと笑った。
『あの……。亜子さん…。』
ｱｺ『何？』
手を動かしながら返事だけを返す。
『私………。』
言いたい事がうまく言葉に出来ない。
亜子はチラッと店の時計を見ると、Aの背中を押した。
ｱｺ『ほら！遅れちゃダメ！早く支度する！』
『あっ…。』
話を遮られたAは家の中に足を踏み入れる。
ｱｺ『あ、そうそう。私も今日、夜ちょっと出かけるから。』
『夜？』
亜子はニヤッと笑って言った。
ｱｺ『デート。』
『えっ！？』
驚いた声を出すAを見て声を上げて笑った。
ｱｺ『町内会の人たちとね。』
『そっか。分かった。』
ｱｺ『遅くなると思うから先に寝てて。』
『うん。』
ｱｺ『あ、それと、遥斗帰ってきたら連絡くらいしろって言っといて。』
『結局帰って来なかったね…。』
ｱｺ『いつもの事よ。あんたもそう言ってたじゃない。』
『そうだけど…。』
いつもの事とは言え、帰って来ないと心配になる。
ｱｺ『あのボンクラ息子の事はいいから、楽しんでらっしゃい。』
『ありがとう。』
Aは亜子の言葉に小さく頷くと、エプロンを外して2階へ上がった。
朝起きたら…
LINEが入ってた…
"9時にランドマークホテルの入口で待ってる…"
時間をもう1度確認すると、用意してあった服を手にする。
真っ赤なセーターにデニムのパンツ。
背中まで伸びていた髪は下ろして白いコートを羽織る。
等身大の鏡で自分の姿を揺らして確認すると微笑んだ。
でもすぐに引っ込める笑み。
明日が終わったら…
ドンへは…
なのに…
まだ迷ってる…
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ゆちょみん(プロフ) - みゅうみゅうさん» お読みいただきありがとうございます。手作りのガトーショコラ素敵です＾＾ 引き続きお楽しみ下さいね！！ (2017年2月14日 21時) (
レス) id: 2956dc90c7 (このIDを非表示/違反報告)
みゅうみゅう(プロフ) - 更新ありがとうございます！このお話のドンヘさんがとても好きで、今日のバレンタインにガトーショコラを焼きました^^今はとても切ない二人だけど幸せになれたら良いな。これからも楽しみにしています。 (2017年2月14日 19時) (レス) id: 55c32e169a (このIDを非表示/違反報告)
ゆちょみん(プロフ) - yukichiさん» いつもお読みいただきありがとうございます。迷走してませんか？大丈夫でしょうか。時間が許す限りUPしますね！ (2017年2月14日 17時) (レス) id: 2956dc90c7 (このIDを非表示/違反報告)
yukichi(プロフ) - 毎日繰り返し読んでいます。ほんと胸が痛いです(´；ω；｀)物語にどっぷり引きずり込まれて１日中考えてることもあります（笑）はやくドンへの元へ帰りたいな。 (2017年2月14日 7時) (レス) id: 7799256b4d (このIDを非表示/違反報告)
ゆちょみん(プロフ) - みきさん» コメントありがとうございます。覚えていてくれたんですね。本当に嬉しいです。昨日完結させましたのでこれからどんどんUPします。ただいまです！ (2017年2月13日 17時) (レス) id: 2956dc90c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆちょみん
| 作者ホームページ：http://ameblo.jp/yuchuming
作成日時：2017年2月10日 18時
