待ち人 ページ22
『ただいま！』
店先から声をかける。
ｱｺ『お帰り。』
『ごめんね、店番押し付けて。』
ｱｺ『暇だもの。いいわよ。』
『上着置いてくる。』
店の奥から家に入ると二階へ駆け上がる。
机の上に置きっぱなしだった携帯が光っている事に気づいた。
LINEのアイコンの上に小さなマーク。
"明日オフなんだ。少しでもいい。時間作って欲しい"
ドンへからのメッセージ。
その1分後にもう1つ。
"会いたい……"
胸をギュッと掴まれるような感覚。
『私も………会いたいよ……。』
そう呟いて携帯を抱きしめた。
一方。
横浜アリーナは歓声が鳴り止む事なくライブは順調に進んでいた。
激しいダンスナンバーが終わると、しっとりとしたバラードの時間。
女性客たちは目を潤ませながら、音楽に合わせて身体を揺らしていた。
遥斗は相変わらず出入り口の前から一歩も動けず、少しも目を離せず、ただ眉間にシワを寄せるだけ。
ステージの上で歌っていたドンへ。
花道をゆっくり歩く。
集まったファンたちに丁寧に手を振りながら、優しい声で歌う。
左の客席に、手作りのような名前の書かれたプレートを持っている制服姿の女の子たちを発見したドンへ。
歌いながら近づいてその場にしゃがみこむ。
腕を伸ばせば触れられそうな距離で手を振れば、悲鳴にもにた声が返ってくる。
それにクスッと笑って立ち上がる。
次の瞬間、溢れんばかりの笑顔が曇った。
視線の先。
扉の前に違和感のある男の姿。
よく見たスタッフジャンパーを着て、眉間にシワを寄せている遥斗。
合わせてしまった視線。
どうして…
ドンへの頭がそう呟く。
俺…
ようやく分かったよ…
遥斗は頭でそう呟く。
着ていたスタッフジャンパーを脱ぐと、同じ持ち場に立っていた男性に放る。
扉に手をかけて、ステージを振り返った。
どうしてAが…
日本へ来る気になったのか…
どうして…
お前を捨てたのか…
お前みたいな仕事の奴が…
Aを…
本気で愛せる訳がない…
あいつを本気で…
抱きしめてやれるわけがない…
Aは…
それが苦しくて…
辛くて…
泣いていたんだ…
だから…
ゆっくりと扉を開けると、ドンへをキッと睨みつけて出て行った。
まるでスローモーションみたいに閉まっていく扉。
俺みたいなガキが…
あいつを幸せにしてやれるまでにはまだ時間がかかる…
でも…
お前みたいなのを待ってるよりは…
マシだよ…
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ゆちょみん(プロフ) - みゅうみゅうさん» お読みいただきありがとうございます。手作りのガトーショコラ素敵です＾＾ 引き続きお楽しみ下さいね！！ (2017年2月14日 21時) (
レス) id: 2956dc90c7 (このIDを非表示/違反報告)
みゅうみゅう(プロフ) - 更新ありがとうございます！このお話のドンヘさんがとても好きで、今日のバレンタインにガトーショコラを焼きました^^今はとても切ない二人だけど幸せになれたら良いな。これからも楽しみにしています。 (2017年2月14日 19時) (レス) id: 55c32e169a (このIDを非表示/違反報告)
ゆちょみん(プロフ) - yukichiさん» いつもお読みいただきありがとうございます。迷走してませんか？大丈夫でしょうか。時間が許す限りUPしますね！ (2017年2月14日 17時) (レス) id: 2956dc90c7 (このIDを非表示/違反報告)
yukichi(プロフ) - 毎日繰り返し読んでいます。ほんと胸が痛いです(´；ω；｀)物語にどっぷり引きずり込まれて１日中考えてることもあります（笑）はやくドンへの元へ帰りたいな。 (2017年2月14日 7時) (レス) id: 7799256b4d (このIDを非表示/違反報告)
ゆちょみん(プロフ) - みきさん» コメントありがとうございます。覚えていてくれたんですね。本当に嬉しいです。昨日完結させましたのでこれからどんどんUPします。ただいまです！ (2017年2月13日 17時) (レス) id: 2956dc90c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆちょみん
| 作者ホームページ：http://ameblo.jp/yuchuming
作成日時：2017年2月10日 18時
