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どこに行けばいいかもわからんまま楽屋を飛び出して
建物前の自販機の横で座り込んでたらぽすんと頭の上に誰かの手が乗せられた。
「風邪ひくで、アホ」
思わず見上げるとそこにいたのは拓哉で、
呆れたような顔で私を見下ろしていた。
『…何しにきたん』
「うっわ可愛くな。意地っ張りのアホをせっかく迎えに来たったのに」
呆れながら私の隣に腰を下ろす拓哉の言葉に思わず顔を伏せる。
…可愛くないことくらい分かってるよ。
可愛くないから、心配してくれた風雅にあんなこと言っちゃった。
「風雅には関係ないって言ったんやって？」
『…なんで知ってんのよ』
「俺はお前らの同期やからなぁ」
ぐしゃっと私の頭を拓哉の少しだけ大きな手が撫でて、
その手つきはちょっとだけ乱暴やのになんだか優しくて、
止まってたはずの涙がまた溢れてきた。
「風雅はお前のこと心配してんねんて」
『…分かってる』
「ん、ちゃんと分かってんのやったらええ」
同い年で同期やのに、私の頭を撫でる拓哉の手つきは
まるでお兄ちゃんみたいで安心する。
『…たくや』
「ん？」
『ふうが、怒ってた…？』
「んー怒ってたっていうか、落ち込んでたなぁ」
『………そ、っか』
なんであんなこと言うてもうたんやろ。
今さらながら後悔が押し寄せてきて、くるしい。
そんな私の気持ちに気づいたのか、私の頭を撫でてた
拓哉の手が私の肩に移動してぐいっと抱き寄せられる。
「もー泣かんの。ちゃんと謝ればええんやから、な？」
『ん……、たく、』
「ん？」
『ふうが、許してくれるかな…』
「当たり前やろ、あほ」
俺ら3人の絆なめんな、なんて拓哉が言うから
私は堪えきれずに、また泣いてしまった。
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作者名：しゃけ
| 作成日時：2024年1月9日 23時
