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"いつか" ページ6

kotaro side.





『るーく今日もかわいいねえ。グミ食べる?』
「食べへん。もう暑いって、ちょっと離れて」


数メートル先、床に座り込んでスマホを弄っている琉巧にべったりくっついてウザ絡みをしているうちのお姫様。
かわいいかわいいってデレデレしながら琉巧にくっつくAに、当の琉巧はちょっと鬱陶しそうで。

ちらり、と俺の隣にいる風雅に視線を向けてみるけど
風雅はスマホゲームに夢中になっててあの光景に気付いてないみたい。


「ふーうさん」
「あ?なに彪太郎、今俺忙しい」
「何のゲーム?あ、それか…え、めっちゃレベル上がってない!?」
「めっちゃやってるもん。邪魔せんとって」
「いややり込みすぎやろ…ってそうじゃないねん。アレ、ええの?」


アレ、と俺の指差した先には先ほどよりもぎゅっと琉巧にくっつくAの姿。
るうくかわいい、だいすき、と甘い声を出すAに
琉巧は相変わらず顔を顰めたまま「ほんまに離れて」って嫌そう。

A大好きな風雅は、あれを見てどんな反応するんやろ。


「別にいい、琉巧やし」
「あ、ええんや。斗亜やったら怒るのに?」
「琉巧は年下やからええねん。あいつ琉巧にウザがられてるし」


まあ確かにその通りなんやけど。
琉巧、嫌がりすぎてAのほっぺた潰れるくらい押し返してるし。
…そんなに嫌がらんでも。


「でも風雅、西村さんにも怒らんよね」
「あー…?」
「いつも基本誰に対しても独占欲丸出しやのに、珍しいよな」


Aは風雅と同期やけど、それは即ち西村さんとも同期なわけで。
やから西村さんともよく一緒におるし、二人でご飯とかもよく行ってる印象やねんけど


「……拓哉は」
「ん?」
「拓哉はなんか、まぁ」
「なんなん、なんかまぁって」
「いや、嫌やなって思うときもあるよ、一番取られたくない相手ではあるし」


二人は同期で、シンメで、一番のライバル。
そんなの、近くで見てる俺たちが一番よく分かってる。


「でも、」
「うん?」
「Aには、拓哉が必要やから、たぶん」


スマホを握りしめたままそうぽつりと呟いたふうさんの横顔が、
なんだかちょっとだけ寂しそうに見えた。


「ま、絶対譲らへんけどな」
「はは、ふうさんらしいなぁ」
「当たり前やろ」


あいつ、俺のやもん。
あまりにも当然のようにさらっと溢された風雅の言葉に、思わず笑ってしまった。


いつか、その真っ直ぐな気持ちがAに届く日がきますように。






.

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作者名:しゃけ | 作成日時:2024年1月9日 23時

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