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takuya side.





顔を伏せて泣いてるAの肩を抱き寄せて数分、
結構煽ったし、今頃こたちゃんも煽ってるはずやから
そろそろ焦った顔で風雅本人登場する頃やと思うんやけどな

って思ってたら、
建物のエントランスから勢いよく人影が飛び出してきた


「Aっ!!」
『え、………ふう、』


俺とAの姿を見た途端一瞬だけ険しい顔をして、
すぐにちょっと悲しそうな顔をした風雅
そんな顔してもあかん、Aのこと泣かせたんは風雅やからな


「おっそいわ、アホ」
「……ごめん、」
「ん、ほら」


抱き寄せてたAの肩から手を離して
そのままAの手を取って立ち上がらせる
不思議そうな顔をするAの体を風雅の方に押し付けると
風雅はびっくりしながらもしっかりと抱きとめてた


「ちゃんと二人で話し合ってくださーい」
『え、ちょ、たくや』
「A、お前も悪いねんからちゃんと謝り」
『……………ん、』


風雅の腕に抱かれながら俺の言葉に小さく頷いたA
もう大丈夫そうやな


「風雅、貸しイチな」
「えー…」
「なん、文句あんの?」
「…文句じゃないけどさぁ」


貸し、と言う言葉に口を尖らせて不服そうな風雅
なんや、文句でもあんのか

ちょっとだけむすっとしながらも
その腕はしっかりとAを抱いたまま、離す気なんてなさそう


「風雅」
「なに、」
「……約束、忘れてへんよな?」


Aには届かんような、
風雅にしか聞こえへんくらいの声で呟いた俺の言葉に風雅が少しだけ目を見開いた

そしてすぐに、風雅もまた俺にしか聞こえんくらいの声で「当たり前やろ」と答える

ん、ならええねん。

俺も絶対に忘れへんし、風雅にも忘れさせへん
Aは知らん、俺と風雅だけの、あの日の約束


「ほな、俺先戻ってるなー」
「、拓哉」
「ん?」
「………ごめん。ありがと」


Aの体を抱きしめたまま風雅がこぼした言葉に思わず笑う
ほんま、世話の焼ける二人やなぁ。


「どーいたしまして」


まぁ、なんだかんだ満更でもない俺も俺なんかもしれんけど。





.

仲直り→←.



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作者名:しゃけ | 作成日時:2024年1月9日 23時

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