【ヒIジIキI組】ちょこくっきぃ【短編集】

▽君への贈り物：Kiyo ページ11

「チョコケーキ？キヨ君何考えてんの？私料理初心者なんだよ？」
「文句ならフジに言ってくれ…お前が聞いてこいって言うから聞いてやったのに…」
「うっ、ごめん…」

＊

帰り道。俺は早速フジに好きなチョコレートを使ったお菓子とやらを聞いた。

「…なぁ、フジってさ、好きなチョコとかあんの？」
「ちょ、キヨ唐突だね？えっ待って何？俺にチョコくれんの？もしかしてキヨ俺のこと好きなの？」
「殺されてぇのか、さっさと答えなきゃしばく」
「仕方ないなぁ。…そうだね、チョコレートケーキ、とか？」

「ふーん、俺ここ曲がるからじゃあな」

なーんだ。美術が5のフジもケーキくらいで釣れるのか…。
てっきりプロのショコラティエみたいなチョコレートじゃないとダメなのかと思った。

どうせケーキとか簡単だろ。さっさとAに報告して早く解放されよう…

＊

「ケーキが簡単な訳ないじゃん！！！！なんなの！？！？やる気あんの！？」
「うるせぇな…。じゃあネットで検索してみればいいじゃん」
「わかった！」

そう言い早速スマホを取り出して必死に検索を始めるA。彼女は先ほどとは打って変わって真剣そうな顔をしていた。

＊

「なにがケーキだよ…何にも簡単じゃないじゃん…」
「…なんだよ急に」
　
「ね、キヨ君、あたしやっぱ…振り向かせられない、むり、なのかな…」

そう言い泣きそうな顔になっているA。それを見て俺は無意識にAの肩に手を置き、彼女のスマホの画面をスクロールしていた。

「お前さ、諦めるの早すぎ。まだ見てないページめっちゃあるだろ。
　もしかしたらお前でもできそうなやつ、あるかもしれないじゃん。

　な？フジのことそんな小さいことで簡単に諦めんなよ。俺がせっかく応援してやってんだから。」

「、キヨ君…」

「さ！こんなにしんみりしてちゃダメだ。なるべく簡単なやつ探すぞ！」
「…うん！」

＊

翌日。

「ね、きいて！できそうなの見つかった！」
「おっ見つかったのか！よかったな！」

どうやらとても簡単なものが見つかったらしい。嬉しそうに笑うAを見て、俺は自分の事のように嬉しくなった。

「フジ君が喜ぶようなケーキ、作れるかなぁ…えへへ、フジ君大好き」
「…きもちわりぃな」
「ひどい！大好きなんだからしょうがないでしょ！」

でも、最近おかしい。
Aとフジが付き合うかもしれない。それは俺にとってとても嬉しいことのはずなのに。

＿＿なぜか、心がチクチクする気がするんだ。

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