いじわる、有岡先輩。

《38》 ページ38

..




大貴 ｢A……？｣



冷却スプレーが倒れ、
コロコロと転がる音がとても大きく聞こえる。




大貴 ｢…だ、大丈夫、？｣


衝動って怖い。

自分がした事なのに自分じゃないみたいで、
変にドキドキが増して少し震えてる




.



A ｢………大丈夫じゃないです、｣


キュッと先輩の服を力なく握り
額は男性らしい背中に少し体重をかけ



有岡先輩と身長の差は大きくないし
反対方向を向いてるし



なのに、落ち着くなあって……。






大貴 ｢前向いちゃだめ、？｣



A ｢………だめ｣


今まで我慢してたものが緩んでツー、と色々な気持ちと共に溢れ出てきた





A ｢どうしよう止まんない、、｣



大貴 ｢…………｣




拭っても拭っても止まる事を知らないように
噴水のように次から次へと頬を伝う…


.




A ｢先輩、こっち向いたらだめ………っ｣



涙を拭うため服を握ってた両手が離れると先輩は私と向き合う形になった、







大貴 ｢Aが落ち着くまで一緒にいるから｣




先輩の腕の中はぽかぽか温かくて
その抱擁力に甘えちゃいそうな気もするけど…







A ｢だめです、


そんな甘やかさないでください｣





大貴 ｢Aいつも1人で溜め込むからさ、


今日くらい頼ってよ？｣




.







今優しくされると心が締め付けられるような感じだけれど、その言葉が嬉しくて心強くて





どうしようか迷っていた両手を
有岡先輩の背中に回した。

《39》→←《37》

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す