いじわる、有岡先輩。

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うんと近くなった有岡先輩との距離に風邪が悪化しそうなくらいドキドキが止まらない…



A ｢………先輩、？｣



大貴 ｢伊野ちゃんじゃなくてごめんね、｣




ちょっぴり躊躇うように先輩の手が伸び、
私の前髪をその手で上げ



窓から入る光のせいで普段より大人びた顔が近づき、おでこにピタッと触れた……


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大貴 ｢…………あっつい、｣



A ｢………｣



大貴 ｢俺、顧問に言ってくるからちょっと待ってて｣




はい、とだけ返事をすると有岡先輩は保健室を出て顧問のいる職員室に向かった。


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どきどきどき、、


怖いくらいに鳴り止まない。

伊野尾先輩が好きなのにあんな事をされただけで有岡先輩にこんなにもドキドキしてしまう私は単純な女なのかな……




いや、これはきっと風邪のせいで誰かからの優しさが欲しかっただけかもしれない。




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大貴 ｢A！


先生が親に連絡してくれて迎えに来てくれるって！｣



A ｢わかりました、ありがとうございます｣





自分の仕事は終えたはずなのに


風邪を移してください
とでも言うように私の隣に座った




A ｢戻らなくていいんですか？｣



大貴 ｢Aが心配だもん、親来るまでいる｣



A ｢移っちゃいますよ？｣



大貴 ｢移してよ、笑｣


へろーと笑うのは学校休めるから
なんて馬鹿な事考えてる時だよね、なんて…


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大貴 ｢俺あの時、無理すんなよって言ったのに


なんでこんな無理しちゃうの｣



A ｢…………え、いつ言いました？｣




先輩の大きい目が更に大きくなって相当驚いている様子が伝わった。



頭をフル回転させて考えてみたら、

きっと伊野尾先輩と話してて隣を通った時にごにょごにょとしてて聞こえなかったあの言葉だと確信が持てた。


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