いじわる、有岡先輩。

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..




｢ありがとうございました｣

終礼が終わり一瞬にしてガヤガヤうるさくなる教室。

友達と話す人、部活に向かう人、課題を始める人など様々な人がいてとても賑やか。



私もいつもなら部活の準備に向かうけれど、


A ｢ケホッケホッ……｣

微風邪だったのが結構悪化し体が怠くて動きだせない。
ぼんやりと遠くを眺め、
部活に行かなきゃと考えるけど……




精一杯の力を込め学校用カバンを背負いゆっくりと体育館に向かった


.



滞りなく準備は終わり、
ゾロゾロと先輩達が体育館に入ってくる

A ｢こんにちは〜｣

と挨拶をしながら探すのはやっぱり伊野尾先輩だけ……




｢大ちゃん行こうよ一緒に〜｣


好きな人の声って
どうしてこんなにスーッと耳に入って来るんだろう。



A ｢こんにちは、！｣



慧 ｢Aちゃん朝ぶりー｣


目にかかるくらいの重たい前髪をどかすようにクイッと頭を動かす仕草がかっこよくて仕方ない…

風邪なんか吹っ飛んじゃいそうな力があります。


.


トンッ、


A ｢？｣




伊野尾先輩の隣にいるって分かってたし、
普段あんなによく喋るのになぜかずっと黙ってるのも分かってた


なのに自分の存在を主張するかのように

私の隣を通って行く時、
肘でトンっと優しく押してった有岡先輩。


それと同時に何か重要な事をごにょごにょと言ってたけど、周りの音に掻き消されて聞こえなかった………

.




慧 ｢ん？どうかした？｣



A ｢…いえ！何も！｣



慧 ｢そっか、じゃあ今日も頑張りま〜す！｣


張り切ってる様子でトコトコと有岡先輩に追いつき肩を組む姿を見て、

青春だなあなんて……





.






でも有岡先輩の表情は濁ってた。

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