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結局買い出しは、じゃんけんで負けた那須くんが行くことになった。
浮所くんが「差し入れもよろしくー!」と叫んで那須くんを見送る。
「はいはい〜」と那須くんは答えて、教室を出ていった。
「そういえば那須くん、ホームセンターの場所わかるのかな?」
「あ、教えるの忘れた。携帯持ってるから大丈夫じゃない?」
ちょっと休憩にしよー!と浮所くんが声をかけるとみんな「あーつかれたー」と作業の手を止める。
私も休憩しようと思い、ジュースを買いに、1階の自動販売機まで階段を降りた。
ジュースをどれにするか迷っていると
シーンとした下駄箱から誰かの足音が聞こえた。
下駄箱の方に寄ってみると
「あ、」
那須くんがうろちょろとしていて
彼も私に気づく。
「あ、たまごちゃん」
「どうしたの?」
「なんか、雨降ってきたんだよね」
「傘貸すよ」
私は下駄箱から置き傘を取り出し那須くんに手渡す。
「ありがとう」
「ううん。気をつけてね」
「ふふ、いってきます」
彼は始業式のときと同じ笑顔を見せて
下駄箱を出ていった。
きゅうっとなる胸を感じながら玄関のガラス越しに見える那須くんを見送る。
那須くんは、彼には似合わないラベンダー色の女物の傘をさし歩き出した。
が、すぐに傘をたたんで戻ってきたので
雨やんだのかな、と思って見ていると
「待って、たまごちゃん」
私を呼び止めた彼は
「ホームセンターどこ?」と聞いてきた。
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作者名:ちょこころね | 作成日時:2018年12月23日 8時