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__Hidaka side__
″飛貴といると明るい気持ちになれるね″
彼女は俺より2つ上で
家が近い俺達は小さい頃よく一緒に遊んだ。
いつも遊び相手になってくれた彼女は俺にとって″お姉ちゃん″のような存在だった。
″希那(きな)ちゃんー!!ジャングルジム登ろー!!″
″ふふ、飛貴落っこちないでね?″
″大丈夫!″
しかし俺が思春期になると
一緒に遊ぶことは次第に減っていった。
そして彼女への気持ちが
恋心だと気づいたのは
中学に入ってから。
″ねぇほんとは気づいてるんでしょ?″
″飛貴...″
″俺と付き合って″
″...うん″
俺達が付き合い始めたのは2年前。
俺が中2で彼女が高1のときである。
彼女と過ごす日々は甘くて
でも少し酸っぱくて
彼女さえいれば他に何もいらない。
そう思えるくらい幸せだった。
しかし3ヶ月後、
彼女は突然姿を消した。
″飛貴といると明るい気持ちになれるね″
″どうしたの?何かあった?″
″ううん、何も。じゃあね、また明日。″
これが最後に交わした会話だった。
家にはすでに違う人が住んでいて、携帯も繋がらなかった。
未だに彼女がどこに行ったかを知る人はいない。
あのとき俺がちゃんと彼女の話を聞いていたら
彼女が姿を消すことは無かったのだろうか。
もう多分、彼女には一生会えない。
そう思った俺は、
記憶も気持ちもダンボールの箱に入れて
ガムテープでぐるぐる巻きにした。
全部、忘れたフリをした。
でも
「浮所くんといると明るい気持ちになれる」
ダンボールの中の記憶は
一気に蘇ってきた。
君の
健気なところも
すぐ笑うところも
素直なところも
少しドジなところも
全部、彼女と同じだった。
君を見ると胸の奥がモヤモヤする。
それなのに、つい目で追ってしまっているのは
たぶん、
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作者名:ちょこころね | 作成日時:2018年12月23日 8時