罪深き王子様 2 ページ12
「あのさ…」
「なんでしょう、皇子。」
大和撫子というような若い女中、唯(ゆい)に少年は告げる。
「唯…お前は……狐が嫌いか?」
間髪入れずに彼女は言った。
「いえ、むしろ大好きです。翔様のような方を輩出したのも狐一族ですから。それに、女型妖怪にとって、妖狐というのは憧れなんですよ。
国王を騙して妃になる、そんな栄枯盛衰の物語はとても人気があるんですから。
だからお母様である陽菜様は女中でも人気があったそうです。騙してはいませんが、とても優しい方だったので、好かれていたそうです。」
唯は差別意識が無いようで、憧れだと言われて少し嬉しくなった。
「…あのさ……南(みなみ)、湊(みなと)、狐は好きか?」
お付きの女中と召使いである兄妹の南と湊。彼らにも聞いてみる事にした。
「もちろんです。」
「寧(むし)ろ、仲が悪いのが不思議なくらいです。」
湊、南という兄妹は狐が好きらしいようで。
「そうだな…なぜ、狐と龍がいがみ合ってしまうのだろう。」
その疑問も分からずに夜は泣いてしまう。
そんな好き嫌いが自分から姉を奪ったのだとしたら、悲しくて仕方がない。
『翔。貴方は独りじゃない。僕がいるよ。』
ふと脳裏に蘇る姉のことば。そうやっていつも自分を励ましてくれた。
そんな強さが自分にあるのか?といえば、無い。
「強くなる。」
独りきりの皇子は、そう決意した。
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作者名:みりんちょこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fbkkydi/
作成日時:2014年11月23日 21時