【短編集】大空の鳥

【タイム】Unlimited Darkness ☆ ページ40

浅見 A : 竜也の妹。家出してTRに来た。TRで働いてる。僕っ娘。タイムレンジャーの正体やアヤセがオシリス症候群であることも把握済み。

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｢アヤセ｣
｢何だよ｣
｢……体調は？｣
｢悪くは無い｣

そっか、と微笑むA。
｢兄さんが気にしてたよ｣
｢ったく……竜也の奴｣
悪態をつくが、実はそんなに嫌でもないアヤセ。先程まで整備していた車に乗り込むが、Aもそれに着いていく。

｢おい、A｣
｢今日僕シフト無くて暇だし、アヤセが心配だから｣
｢揃いも揃ってこの兄妹は……｣

といいつつも、何だかんだ面倒みの良いアヤセはAの行動も笑って許す。アヤセにとっても、TRの皆にとっても、Aは可愛い妹なのだ。

その日は随分遠くの土地への運転代行の依頼が入っていた。老若男女構わず誰とでもすぐに打ち解けるタイプのAがいたことで車内は終始明るい雰囲気に包まれた。幸い、ロンダーズの事件も無く平穏に1日を過ごせたと言える。

｢あーっA、お前どこに行ってたんだよ｣
｢えっ、兄さんどうしたの？｣
｢今さっき来たんだけど……貴女に急ぎの依頼よ、A｣
｢嘘、今から？｣
｢早く行ってやった方がいいぜ〜｣
｢ドモンさんの言う通りです、Aさん早く行きましょう！｣

時刻は夜9時前。
この時間に空手が強かったとはいえ女の子1人で出歩かせるのは危険だと言われ、またアヤセとAで出かけることになった。
竜也やユウリは電話をかけようと思ったけれど、Aたちはその直後に帰ってきたのだった。

押し込められるがままに車に乗り込み、目的地だけ言われて車は進み出す。
｢……ちょっと何処か明かりのある所に行ってもらってもいい？紙は貰ったけど読めなくて｣
｢あぁ、……あの街灯とかいいんじゃないか｣
Aが頷くと適当な場所でアヤセが停車する。
手紙っぽいけど、何なんだろうか。そう思いながらもAはその手紙らしきものを開封する。

『戻ってこられていないみたいなので、夜10時に伝えた場所に来て下さい』

｢……ロンダーズ？｣
｢それならこれを書く前に襲ってるだろうな｣
｢変なの……｣

その様子を見たアヤセが呆れて笑う。
｢お前もユウリも本当に鈍感だな｣
｢なんで？｣

あぁ、この話知らないんだっけ……。と目を一瞬泳がせたが、何事も無かったかのようにアヤセは車を発車させて目的地に向かう。
｢行ってみればわかるさ、きっと｣

そうして、目的地に難なく着いた2人は車から降りる。

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