【ルパパト】Bon Anniversaire ☆ ページ31
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春の木漏れ日と携帯の通知音で目が覚める。春休みなんだからもっと寝ていたい、なんて思うけれど、とりあえず起きた。通知はお姉ちゃんの名前を示す。
初美花A、今すぐジュレに来て!
Aえ、待って、今起きたんだけど
初美花いいから早く!
Aそんな無茶苦茶な……
初美花透真と魁利が待ってるからね!
Aあぁもう、わかったってば
春休みが明けたら、高校3年生。
お姉ちゃんがああなってしまった以上、お父さんやお母さん……特にお母さんには進学を勧められている。大学受験のことと真面目に向き合わなきゃいけない。
そんな受験生の時間を割くのは何か考えがあるのかな、なんて探りを入れてしまう。
「……就職したいわけじゃないけど、やりたいことやるならどっちにしろ勉強しなきゃ、ダメなのになぁ」
桜が満開のこの時期に、そんな思いを馳せるのは彼がいるから。彼と同じ仕事がしたくて、私は今大いに悩んでいる。
ドアに手をかけ、外に一歩踏み出せば、恋人のノエルさんが庭にある満開の桜と共に出迎えてくれた。珍しい、どうしたんだろう。
「ノエルさん、どうしたの?」
「最近ギャングラーがここら辺に出るって聞いて、仕事のついででいいからって初美花ちゃんから護衛を頼まれたんだ。勿論ついでなんて思ってないけどね」
「それは……もう、お姉ちゃん心配性なんだから」
お姉ちゃんよりも透真くんの方がよっぽど心配性だよ、とノエルさんが笑う。その笑顔につられて笑みが零れる。
この時お父さんがいなくて良かったな、と思い返した時に思ったのは内緒。
「ノエルさん、私これからジュレに行かなきゃならなくて。お姉ちゃんが呼んでて、今すぐ行かなきゃ後でこっぴどく叱られちゃいそうで」
「それは大変だ。早く行かなくちゃね」
そう言うと彼はごく自然に私の手を掴んで引いていく。一応説明しとくと私たちはまだ付き合いたてであって、私はそういうスキンシップに慣れていない。何しろノエルさんが初めての恋人なのだから。
「の、ノエルさん、恥ずかしいから……!」
「誰もいないから大丈夫だよ」
「そういう問題じゃなくて!」
はぐらかされ続けてちゃんとジュレの前まで手を引かれて連れていかれた。私の恥ずかしさもう限界に達している。それこそ、こんな場面をすぐさま冷やかしそうな魁利くんなんかに会わなくて本当に良かった。内心どこかほっとしている自分もいるのだけれど。
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yasuyui0818(プロフ) - すいません、続編ってどこですか? (2019年9月1日 23時) (レス) id: dc39fffb15 (このIDを非表示/違反報告)
yasuyui0818(プロフ) - ありがとうございます 楽しみに待ってます^_^ (2019年7月19日 7時) (レス) id: dc39fffb15 (このIDを非表示/違反報告)
みりんちょこ @ 低浮上(プロフ) - yasuyui0818さん» リクエストありがとうございます!続編でぜひ書かせていただきますね!少々お待ち下さい!! (2019年7月18日 22時) (レス) id: e7f16800b7 (このIDを非表示/違反報告)
yasuyui0818(プロフ) - 続編で目を覚ましたら晴人から庇った事に関して怒られてそこから晴人からプロポーズされ結婚する話をお願いします^_^ (2019年7月18日 20時) (レス) id: dc39fffb15 (このIDを非表示/違反報告)
yasuyui0818(プロフ) - はじめまして ウィザードの晴人で恋人同士で主人公が晴人を庇い敵からの攻撃を受け倒れる話をお願いします (2019年7月18日 20時) (レス) id: dc39fffb15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みりんちょこ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fbkkydi/
作成日時:2019年1月5日 19時