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笑い事なのだろうか。吹奏楽部の部員的には男子バレー部は少し怖い、という印象を持たれがちで、私が押し付けられてしまった……みたいなものなんだけど。
そして、その怖いという印象を植え付けるのは、主に喧嘩ばかりしている宮兄弟と、一見冷たそうに見える目の前の彼。
「……半分は、角名くんのせいだけど」
「何の話」
「いや、こっちの話」
笑って誤魔化した。
「……あれ、Aやん」
「えっAちゃん!?ほんまやんどないしたん!」
「今日は吹部とバレー部のちょっとした打ち合わせ。北先輩に用があって……あ、でもレギュラーメンバーもいた方がいいのかな。ちょっと声かけてくる」
銀島と治くんも私に気がついたみたいで、治くんなんかはあからさまに目が輝いていた。
嬉しいけれどこうも公衆の面前だと少し恥ずかしい。さっき、先輩にクラスメイトですなんて言っちゃったし。
奥にいる北先輩の元へ行って挨拶をすると、レギュラーメンバーに集合をかけてくれた。ぞろぞろと揃う皆さんの中の四人は馴染んだ顔で、ほっとする。
「ええと、今年の担当になりました宮本Aです。……といっても、今日と春高前くらいしか接点はないんですが……よろしくお願いします」
ぺこり、と頭を下げた。「よっ、Aちゃん!」
と侑くんがいらない野次を飛ばしてくる。治くんがそれを睨んでいた。
「ほんまに毎年すまんな」
「あ、いえ!万全の応援のためにもこういうのは必要なので。何かあったら大変ですし……」
そう言いながら私は先輩に渡された紙に目を落とした。去年との変更点の提案などを一緒にまとめたものである。
「えーと、侑くんのサーブの時のアレは今まで通りでいい感じですか……?」
「おん、それで頼むわ」
「了解です。これね」
グッと空中で何度か拳を握ってみせると、三年生の小柄な先輩がゲラゲラと笑い出した。
「うははははっ!お前弄られとるやん!」
「は、ハァッ!?ちゃいますよ!なあAちゃん!」
「あははっ、うん、違う違う」
へらへらと笑うと侑くんはさらに焦ったように汗を飛ばし始めた。少しからかいすぎたかな、反省反省……。切り替えなきゃ。
「あと、入場の時の曲の順番が去年と変更になった、という報告です」
「了解」
「私から言うことは以上なんですが……何か他にご要望などあれば」
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冬咲(プロフ) - いすみさん» そんな嬉しいお言葉をいただけるとは…!😭✨沢山きゅんきゅんしてくださって本当に嬉しいです! (4月17日 16時) (レス) id: 17b4672103 (このIDを非表示/違反報告)
冬咲(プロフ) - 黒尾ファンさん» 完結まで読んでくださりありがとうございました🥲💖違う作品も是非楽しんでくださいませ〜! (4月17日 16時) (レス) id: 17b4672103 (このIDを非表示/違反報告)
いすみ(プロフ) - まずは完結おめでとうございます!!!!もう一周したいと思います。まじでその辺の恋愛漫画よりキュンキュンしました。素敵すぎる作品をありがとうございます🥲❤️❤️ガチでLOVE。 (4月16日 22時) (レス) @page34 id: b9d4cbed9d (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - あまりにも、なまってもうて、すんまへん、、、。😭 (4月15日 21時) (レス) id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - 完結おめでとうございます。応援してました!!どうも、黒尾ファンです。この作品結構の間見てきたんやけど最高やね♡大好きやわ。違う作品も見てみるけん、これからも頑張り〜や。また一から読みますさかい。 (4月15日 21時) (レス) @page34 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬咲 | 作成日時:2024年3月26日 19時