警報、その22。 ページ25
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「もうやだ助けてお願い……」
「だからさ、あいつも言ってたけど優しすぎるんだって。嫌なら無視すればいいじゃん」
「無視はできないやろ、角名が淡白すぎんねん」
横内くんの強引さはあれから霞むことはなくて、むしろエスカレートしてるように思えた。
昼休みに彼がいないことを確認して愚痴を溢せば、フルーツオレに口をつけた角名くんが心ないことを言う。私は無視は心苦しいから返事をしているけれど、実際のところかなり参っていて。
双子が購買戦争へと赴いたことをいいことに私ははあと大きくため息をついた。
「治くんとか侑くんが迷惑とか勝手に決めつけんなって話だよね!あんたの方が迷惑だっつーの!」
「お、珍しい。宮本さんがキレた」
「ははっこりゃ滅多に見れへんなあ」
「笑い事じゃないよバレー部コンビ」
結構真剣に悩んでいるのに二人はどこか他人事。実際他人ではあるんだけど。
「でもさ、宮本さんってああいう絡み方も別になんとも思わない人かと思ってた」
「なんで?」
「だって、治も似たようなもんじゃん。休み時間のたびに話しかけたり、お菓子くれーって言ったり」
ああ、と銀島は頷いた。確かに要素要素は似ているかもしれないけど、私が受ける印象は全くの正反対だよ、角名くん。
「治くんはいいけど、あの人はちがう」
「何が違うの?」
「治くんは、ほら、なんか可愛いじゃん」
銀島と角名くんは、同じような驚き顔を見合わせた。
なに、私変なこと言った?
「それさ、宮本さん……」
「おん、なんかなあ……」
「え、何二人して」
「「なんでもないなんでもない」」
「怖っ!」
角名くんだけじゃなく銀島までもこういうノリをするのはなんだか意外だったけど、恐怖が勝ちます。二人してなんだ。
「言いたいことがあればはっきり言ったら……」
「なあAちゃん〜」
「……」
唐突に後ろから飛んできた声に振り返ると、治くんではなく、さっきまで話題に出ていた彼──横内くん。思わず険しい顔をしてしまった。ごめん。
「ちょっと話ええ?」
「え?あ、うん」
「ちょっと、二人で」
「……ここじゃだめ?」
「だめ」
そろそろと銀島と角名くんを振り返る。ちょっと、顔逸らさないで。関係ないみたいな顔しないで。
「……わかった」
仕方なく立ち上がって、横内くんのあとをついていく。
「……これ、治やばいんじゃない?」
角名くんの言葉は、聞こえなかったことにしたい。
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冬咲(プロフ) - いすみさん» そんな嬉しいお言葉をいただけるとは…!😭✨沢山きゅんきゅんしてくださって本当に嬉しいです! (4月17日 16時) (レス) id: 17b4672103 (このIDを非表示/違反報告)
冬咲(プロフ) - 黒尾ファンさん» 完結まで読んでくださりありがとうございました🥲💖違う作品も是非楽しんでくださいませ〜! (4月17日 16時) (レス) id: 17b4672103 (このIDを非表示/違反報告)
いすみ(プロフ) - まずは完結おめでとうございます!!!!もう一周したいと思います。まじでその辺の恋愛漫画よりキュンキュンしました。素敵すぎる作品をありがとうございます🥲❤️❤️ガチでLOVE。 (4月16日 22時) (レス) @page34 id: b9d4cbed9d (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - あまりにも、なまってもうて、すんまへん、、、。😭 (4月15日 21時) (レス) id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - 完結おめでとうございます。応援してました!!どうも、黒尾ファンです。この作品結構の間見てきたんやけど最高やね♡大好きやわ。違う作品も見てみるけん、これからも頑張り〜や。また一から読みますさかい。 (4月15日 21時) (レス) @page34 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬咲 | 作成日時:2024年3月26日 19時