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警報、その2。 ページ3





「なあ、バレー部のマネージャーとかやる気ないん?」

「ごめん、ないかな。私吹奏楽部だから」

「んーわかっとるよ、冗談冗談」


ダメ元で言っただけやから、と治くんは私の机に頬杖をついた。真面目に答えてやったのに冗談で済まされるのも少し嫌だけど。

……そういえば、今は男子バレー部にマネージャーはいないんだっけ。あんなにアイドル的な人気がある稲荷崎高校のバレー部なら女の子たちがこぞって応募しそうなものだけど、恐らく何か事情があるんだろう。


「他の女の子はいないの?」

「下心あるような奴しかおらんねん」

「治くんが私をマネージャーに勧誘するのは100パーセント下心じゃないって言える?」


くすくすと笑いながらそう揶揄ってみると、治くんは驚いたように目を見開いた。すんでブハッと笑いながら表情を崩す。


「せや、せやなあ。その通りやわ……はははっ、これは一本取られたなあ」

「だから人のこと言えないよ、治くんは」

「それもそうやなあ」


いまだにけらけらと笑っている治くんの顔を見るとなんだか私の方までおかしくなってくる。笑い顔はいつもより少しだけ幼くて、可愛いなあ、なんて変な感情。


「それに、マネージャーにならなくても応援してるよ。楽器吹いて、東京まで行くよ。それじゃだめ?」

「うう……だめやない……なんや今のかっこええこと言うなあ……」

「ふふっ」


いつも侑くんと比べられて少し大人びて見えるのに、ここまで子供っぽい治くんは久しぶりに見た気がする。

なんだかいいな、こう言う一面も。




警報、その3。→←警報、その1。



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冬咲(プロフ) - いすみさん» そんな嬉しいお言葉をいただけるとは…!😭✨沢山きゅんきゅんしてくださって本当に嬉しいです! (4月17日 16時) (レス) id: 17b4672103 (このIDを非表示/違反報告)
冬咲(プロフ) - 黒尾ファンさん» 完結まで読んでくださりありがとうございました🥲💖違う作品も是非楽しんでくださいませ〜! (4月17日 16時) (レス) id: 17b4672103 (このIDを非表示/違反報告)
いすみ(プロフ) - まずは完結おめでとうございます!!!!もう一周したいと思います。まじでその辺の恋愛漫画よりキュンキュンしました。素敵すぎる作品をありがとうございます🥲❤️❤️ガチでLOVE。 (4月16日 22時) (レス) @page34 id: b9d4cbed9d (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - あまりにも、なまってもうて、すんまへん、、、。😭 (4月15日 21時) (レス) id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - 完結おめでとうございます。応援してました!!どうも、黒尾ファンです。この作品結構の間見てきたんやけど最高やね♡大好きやわ。違う作品も見てみるけん、これからも頑張り〜や。また一から読みますさかい。 (4月15日 21時) (レス) @page34 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:冬咲 | 作成日時:2024年3月26日 19時

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