警報、その16。 ページ18
．
好き。
今まで何度も治くんの口から発せられたこの言葉に、重みというものを感じたことは一度もなかった。家で作ってきたお菓子を渡したとき、課題のわからないところを教えてあげたとき、治くんはまるで口癖のようにそう言った。
好き、愛しとる、結婚して……そう言われるたびに「はいはいいつものね」なんてあしらっていた私が。
「今更……ドキドキとか……！」
俯いて、口の中だけでそう呟いた。
信じがたいと自分に語りかけても仕方がない。
確かに胸が大きく鳴ったのだ。治くんの真剣な目から発せられた言葉が、私の心を多少なりとも揺らしてしまった。
目の前ではもぐもぐと口を動かしながらクッキーを貪る治くん。幸せそうな表情を顔にたたえている。
「ん、どうしたんAちゃん？」
「えっ！う、ううん」
彼が……治くんが私に向ける感情とは、一体何なのだろうか。友達として好き、異性として好き、今までは前者だと思っていた。というか、そう思いたかったのだ。おかしな期待をしておいてから回るなんてどうしても嫌だったから。
でも、今日はさすがに、勘違いせざるを得ないような気がする。あんな目で、あんな声で私が好きだなんて言われたら、女の子なら誰だってそう思うでしょ。仕方ない、不可抗力ってやつだ、私は悪くない。
「……治くんってさ、凄い私に好きって言うよね」
私は、思わずそう言ってしまった。自意識過剰なんかじゃない、これは紛れもない真実だから。
すると治くんは、まるで当然かと言うように頷いた。クッキーを咀嚼し、ゴクンと喉を鳴らして飲み込む。
「やって好きやもん。優しいし、かわええし」
「う……だから、そんなこと言うの治くんだけなんだって……」
やっぱり予想通りというか、聞いている私の方が恥ずかしくなるような答えが返ってきた。だって好きやもん、なんてみんなが一度は言われてみたいような言葉を私が治くんに貰ってもよかったのだろうか。
「なにかきっかけとかあったの？」
恥ずかしさに一抹の好奇心が勝ってしまい、私は尋ねた。治くんと仲良くなったきっかけというのは、私はよく覚えていない。一年生の時に席が隣になってから、なんとなく話すようになったのだ。
治くんは首を傾げて、少し経ってから口を開いた。
「んー……一年の時」
「うん」
「かわええ子おるな、て思ってん」
「……うん」
「話したら、好きになった」
「そ、そっか」
「おん」
胸がもう一度静かに鳴った。
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冬咲(プロフ) - いすみさん» そんな嬉しいお言葉をいただけるとは…！😭✨沢山きゅんきゅんしてくださって本当に嬉しいです！ (4月17日 16時) (
レス) id: 17b4672103 (このIDを非表示/違反報告)
冬咲(プロフ) - 黒尾ファンさん» 完結まで読んでくださりありがとうございました🥲💖違う作品も是非楽しんでくださいませ〜！ (4月17日 16時) (レス) id: 17b4672103 (このIDを非表示/違反報告)
いすみ(プロフ) - まずは完結おめでとうございます！！！！もう一周したいと思います。まじでその辺の恋愛漫画よりキュンキュンしました。素敵すぎる作品をありがとうございます🥲❤️❤️ガチでLOVE。 (4月16日 22時) (レス) @page34 id: b9d4cbed9d (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - あまりにも、なまってもうて、すんまへん、、、。😭 (4月15日 21時) (レス) id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
黒尾ファン - 完結おめでとうございます。応援してました！！どうも、黒尾ファンです。この作品結構の間見てきたんやけど最高やね♡大好きやわ。違う作品も見てみるけん、これからも頑張り〜や。また一から読みますさかい。 (4月15日 21時) (レス) @page34 id: 13c9948002 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬咲 | 作成日時：2024年3月26日 19時
