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『…あの。ごめんなさい。急に、出て行って』
「いや、仕方ない、あれは」
『ううん…。あの時のてっちゃん、ちょっと違った。忙しいの、分かってたのに…、わたし、なのに…イライラしちゃってて、あんな事…』
「やめて、花、ちがう」
『…てっちゃんが、出ていってから、わたしも考えて。……こんな風に思っちゃうなら、あんな顔させちゃうなら……。もう一緒に居る意味、無いのかな……って』
言葉につまり、顔を下げる花。
何も言えない俺。
『……独りになりたいって…思った』
顔を上げ俺を再度見つめ、
だから出て行ったの、と言い添えた。
長い睫毛を湛えた瞳から大粒の涙が溢れて、
涙の筋が頬を伝う。
瑞々しい果実のような唇は震えている。
『わたし、てっちゃんの笑顔も、安らぎの場所も守れなかった……ごめんなさい……』
溢れる涙を拭うこともなく花は言葉を紡ぐ。
こんな時でも彼女を美しいと思う俺は、やっぱりどこかイッちゃってるのだろう。
何か言わなきゃ。
花に、あんな事を言わせたのは俺なのに。
守れてなかったのは俺なのに。
苦しめたのは俺なのに。
喉が乾いてひっついたみたいに、声が出せない。
『………最後に、ちゃんと謝りたかったの。ありがとう、聞いてくれて』
「最後って……」
絞り出した声は消え入るような頼りないものだった。
『じゃ……。ごめんね、台所借りた。厚かましいかもだけど、鍋の中、良かったら食べて』
花が立ち上がる。
涙を拭い、キッチン脇に置いていたバッグを持って廊下へと消えていった。
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Hina(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» Mrs.ぱんぷきんさま いつもコメントありがとうごさいます。連作共々ご覧頂きとても嬉しいです。引き続き宜しくお願い致します。 (2020年6月7日 11時) (
レス) id: b15ad917e3 (このIDを非表示/違反報告)
Hina(プロフ) - 夜宵さん» 夜宵さま コメントありがとうございます。お褒めのお言葉大変嬉しく思います。次回作以降もよろしくお願いいたします。 (2020年6月7日 11時) (レス) id: b15ad917e3 (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 気付いたら泣いてて、気付いたら笑顔になってました！今作も素敵です！！！執筆お疲れ様でした！！！！！ (2020年6月7日 0時) (レス) id: 534e341e06 (このIDを非表示/違反報告)
夜宵(プロフ) - 初めまして 文の書き方がすごく好きです。ぜんぶの作品を一気読みしてしまいました、、 特にこちらのお話は、短めなのに胸がギュッとなって 最後に2人がまた和解したとき思わず安心して泣きそうになってしまいました とても好きです これからも応援しています！ (2020年6月6日 21時) (レス) id: af02700ee8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Hina | 作成日時：2020年6月6日 19時
