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夏宵- 1 ページ6

＜夏宵＞


岡崎市主催の夏祭りが昨日岡崎公園で催され、
俺らのトークイベントが最大の目玉。
花はそれを見に来てくれていた。

「ステージから見えてたよ。花のこと」
『え、うそマジ？』
「あそこでしょ、あの、真ん中のさぁ規制線のあたり」
『わっ、すごい、当たり！！よく分かったね！』
「意外と見えるもんよ、コレが」



夏祭りの翌日。
そこそこ遅い時間に帰ってきた俺を花は起きて待っていてくれた。
今はダイニングテーブルに向かい合わせに座り、
昨日のステージを振り返っている。


「あそこにいたならもっと前にも来れたやん。なんか、あとから来た女の子たちに抜かされとったでしょ」
『やだ、そんなトコまで見えてたの』
「まーね。あの位置、花の身長だとステージ見えんことなかった？」
『んー、まぁね。ちょっと、虫くんは、見えなかったかな？』

じゃあ、なんで前に来んかったん？と聞いたらだって、と口籠る。

『あんな若い女の子達の中に入っていく勇気なんて、ないよ…』
「……ふはっ。……若い子って」


苦笑する。
俺が笑ったのが面白くないのか、すかさずバカにしてるでしょー！と声を張って抗議してきた。

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