Morning / Side;子犬 (ページ1)

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Morning / Side;子犬 1 ページ1

東海オンエア橙さんとのショートストーリー

特に変わった設定などないありふれたモチーフ・文章ですが、盗作・引用等は致しておりません

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家で朝飯を食べた後の一服には時間を掛ける。
パーラメントの煙をいつも以上に深く吸い込んで、メンソールを堪能する。
ギリギリまで先端に灰を溜めて、
おもむろに灰皿にそれを落とす。
ちょっとした手遊びだ。

『ねぇ、こっちじゃなくてむこう向いて吸ってよ』

さっきまで二人で囲んでいたダイニングテーブルに腰掛けた花が、
そのテーブルに対面する窓枠のサッシにもたれ掛かっている俺に、
化粧をする手を止めずに言った。

「煙吐く時はあっち向いてるやん」
『そもそもなんで窓開けっ放しなん、煙部屋の中に入る』
「閉めたら花の声が聞こえん」
『別に聞こえんでいいやん。もー、吸うならもっと向こう行きぃよ』

投げやりにベランダの奥を指差す。
ベランダのコーナーには灰皿の代わりに缶コーヒーの空き缶が置いており、
そこが我が家の喫煙スペースということになっている。
花はタバコが嫌いだ。
彼氏としては止めた方がカッコいいんだろうが
こればかりはハードルが高い。
だからせめてもの気遣いとしてベランダで吸ってる訳だ。
まぁ、花が家に居ない時にはこっそり部屋ん中でも吸っちゃう時もあるけど。

『ねーーえぇ、ほんとに！煙！！こっちまで来とる！！！』
「もうすぐ終わるから、ほらあとこれだけで終わり。」

殊更大きく吐き出した煙がよっぽど気に入らないのか、
さっきよりも声に怒気を含んでいる。
そんな花を他所に、俺はへらへらと残り短くなったタバコを掲げてみせた。