今宵逢ふ人:6 ページ6
「……と、東海のリスナーさんなの!」
ぴたりとてっちゃんが動きを止めた。
そう。どうしても彼のことを無下にできなかった一番の理由をここでついに告げる。
「彼、YouTube観るの好きで、東海オンエアが一番好きなYouTuberなんだって!それで、本人の目標も、世界中の人に見てもらえるような面白いチャンネルを作ることなんだって!」
てっちゃんが私の耳元から顔を離し、心底驚いた表情で私と目を合わせた。
『……まじ?』
「ほんと!スマホのYouTube画面見たもの。東海オンエアのチャンネル登録してあったしなんならメンシプにも入ってた!……てっちゃんの個チャンも登録してあったよ!!」
「はぁ……」
深く息を吐き自分の体勢を直した彼はハンドルにもたれかかった。
「……なん、それ……」
それは反則やん。
頭をぼりぼりと掻きながら小さく呟いたてっちゃん。人一倍視聴者さん思いの彼にとってこの事実は覿面だったようだ。
『……だからA、妙に肩持ってたん?』
「………う〜、だって……。自分の好きな人たちのこと好きって言われたら、そうなるよ…」
『……そっか』
そっと私の頬を撫でた後そのまま髪の毛をそっと梳かす。そして聞こえるか聞こえないかの声で乱暴してごめん、と囁いた。
「……Aも、あの人のこと気になっとるのかと思った。なんか、一瞬めっちゃ嫌なこと考えた」
『なに言っとるのよ…。なんでそうなるんよ …』
「だって、あんな雰囲気のキスされてるの見たら…」
さっきまでの強引さはどこへやら、全身から力を抜きハンドルに覆いかぶさるような姿勢になる。一気に形勢逆転だ。
「……もー。てっちゃん、しっかりして。さっき自分で言っとったやん。わたしはてっちゃんのもの……でしょ?わたしもそのつもりよ?」
『………』
顔を下げたままフルフルと首を左右に振るてっちゃん。すっかり駄々っ子モード。
「確かにね?あの、キスされたのはわたしが迂闊だった。それは、謝る。ごめん」
なぜわたしが謝るのだろうと思いつつも致し方ない。わたしの謝罪を聞いて、てっちゃんがチラリとこちらを見た。
『……もう連絡取ったりしない?』
「しないしない。ただの取引先の人だもん。……LINEは交換しちゃったけど、てっちゃんが嫌ならブロックする」
むくりと身体を起こし、バツの悪そうな顔でわたしを見る。
『……そこまでせんで良い』
「…そっか。分かった」
出すよ。
そう宣言して、エンジンを掛ける。
どこか安心したような横顔を眺めながら、私も頬が緩む。
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Hina(プロフ) - Mrs.ぱんぷきんさん» Mrs.ぱんぷきんさま コメントありがとうございます!キュンキュンして頂いてありがとうございます!また読みに来てくださると嬉しいです。 (2020年7月4日 22時) (レス) id: 4d7f12fd70 (このIDを非表示/違反報告)
Mrs.ぱんぷきん(プロフ) - 朝からキュンキュンしちゃいました照 (2020年7月1日 5時) (レス) id: 534e341e06 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Hina | 作成日時:2020年6月30日 22時