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「おい敦!今までどこをほっつき歩いていた!」
「すみません!マフィアの敷地に迷い込んじゃって」
「はぁぁ⁉」
これは探偵社に着くまで説教だなと中島が思ったその時、
「敦くんも大変だねぇ」
「太宰さん!」
国木田の後ろからやぁと出てきたのは中島の恩人でもあり、今の上司でもある太宰治だった。
「太宰ィィィ!貴様はこんな所に居おったかっ‼」
「あははは、痛い、痛い、死んでしまうよ国木田くんー」
どうやら太宰も何処かに行っていたらしい。川に流れていたのか服から水が滴っている。
「ところで敦くん、どうやってマフィアから逃げたんだい?」
マフィアから抜け出すのは容易ではないことだと知っている太宰は、国木田に絞め技を受けたまま尋ねてくる。国木田が手を離せば頭を地面にぶつかるような体勢で、よく声が出せるなと思いながら中島は太宰の質問に答えた。
「助けに来てくれた人がいて」
「人?さっき話していた人か?遠くて顔までは見えなかったが」
「名前は?」
太宰はいつのまにか国木田の絞め技から逃れ、首をコキコキと鳴らし、さりげなく聞いてきた。
「名前は確か…徳田秋声さんです」
二人の目の色が変わったのがはっきりと分かった。
太宰とき国木田の目が怖いほど鋭くなるのと同時に、その瞳に愁いが過る。
「敦、そいつには成る可く関わるな」
国木田が冷たく言い放つ。
「敦くん、彼女は…」
太宰の瞳が中島を貫く。
「武装探偵社の裏切り者だ」
所は変わり帝国図書館
「ねぇ、A、さっきの国木田って」
「うん、徳さんの考えてる通り、『もう一人の』独歩さんだよ。私と徳さんと同じようにね」
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作者名:月影凜 | 作成日時:2018年10月21日 16時