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撮影前に監督である颯太さんの所へ。
『ご無沙汰してます。今日はよろしくお願いします。』
颯「おう、待ってたぞ。お、凜!でっかくなったな。あらー、はーちゃん。そうちゃんでしゅよー♡」
ここでいつもなら舞香へなんだけど
今日はない。バトル中だから(笑)
『あの、今日のことなんですが。』
颯「ん?今日のこと?」
『ちょっと時間もらえますか?撮影前にどうしても舞香と話しておきたくて。颯太さんにも悪い話ではないと思うんで。』
颯「頑固な妹と話しても無駄だよ。舞香のやつ、あんなに頑固だと思わなかったよ。まったく。誰に似たんだか。」
そりゃ、あなたでしょ。
そっくりっすよ、そういうとこ。
颯「俺が今までどんなに舞香を大切に可愛がってきたか…あいつは全然分かってない。コバンザメのお前に取られてしまうし。」
『まだそんなこと言ってんすか?もう15年経ってるんですよ。舞香のことは俺に任せてください。なので、その間、凜と遥香をお願いします。』
目に入れても痛くない甥っ子と姪っ子を預け
俺は舞香の所へ向かった。
Knock Knock
『舞香ー?いい?』
「はい、どうぞ。」
舞香はまだ着替えもせず、ヘアメイクもまだ。
これはまだ葛藤してるんだな。
よし、ここだ。
『舞香、ちょっと話があるんだけどいいかな?』
「話?なあに?」
俺は意を決して話し始めた。
『ここに15年ぶりに来て、色んなこと思い出したんだ。ここでの撮影もだけど、ここから先のこと。』
「…うん。」
『ここでの撮影の後、俺ら色んなことあったよね。』
「うん。」
『舞香に想いを伝えて恋人になって。俺、すっごく幸せだった。なのに、いきなり消えてさ。』
「ごめんね。」
『でも舞香ともう一度巡り会って結婚して。また色んなことあったけど、こうして今も一緒にいて幸せ。』
「私もよ、蓮くん。」
『俺今まで言わなかったけどここで舞香を抱きしめた時さ、夢と同じだったんだ。』
「夢と?」
『そう。舞香と出会う前に見てた夢。誰か分からないけど俺は大切な人を追いかけて探してたんだ。で、やっと見つけて抱きしめたとこで、夢が終わんの。』
「それで?どうなるの?」
『夢の中で抱きしめた人の感覚と舞香を抱きしめた感覚が同じでさ。あ、俺が探してた人だって確信したのがあの時。』
「…蓮くん…」
『あの時、俺は舞香への想いを演技に表してた。だから今日も俺は舞香への想いを表したいんだ。何一つ隠さずにね。いいよね?』
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作者名:ちょ | 作成日時:2021年11月20日 18時