○８ ページ44
懐かしい店での食事を終え、帰宅する。
凜は当直、遥香も撮影で地方に泊まり。
俺と舞香の二人だけ。
そう意識してしまうと、未だに緊張する俺。
舞香と出会って、もう35年経つのにね(笑)
「今日はありがとう。」
『俺こそ久しぶりに行けて良かったよ。』
「ねえ、蓮くん。」
『んー？』
「…私のこと、抱いてもらえますか？」
『えっ？舞香、今何て…』
いきなりの爆弾発言に驚く。
「…もう、やだ…何回も言えないもん。…」
『あの…いいの？』
「うん…」
真っ赤になってる舞香を抱きしめ、唇を重ねる。
毎日キスしてるけど、それとは違うキス。
俺が何度でもオスになるためのキスをした。
「…んっ…ぁ…」
久しぶりに聞く舞香の甘い声。
俺の本能を刺激してスイッチを入れてくる声。
『俺、舞香が欲しい。』
「…うん…私も…蓮くんが欲しい…」
もう一度、唇を重ねる。
そして俺たちはまた身体を重ね合ったんだ。
俺の腕の中で眠る舞香を見つめる。
出会った頃と変わらない可愛さと可憐さ。
俺の腕の中で乱れ狂う、あの妖艶な美しさ。
俺にしか見せない舞香の特別な姿。
俺だけしか知らない舞香の姿に嬉しくなる。
そっと頬を撫でると
「れんくん…」と、寝言？何これ、可愛い。
この愛しさの塊をずっと腕の中に閉じ込めたい。
そんな幸せを噛み締めながら、眠りへと落ちた。
翌朝、いつもどおりに朝食をとり
何をするでもなく二人でまったりする。
ずっと変わらないバックハグしながら。
『舞香？』
「なあに？」
『舞香？』
「もう(笑)、なあに？蓮くん。」
『俺、幸せだなぁって。』
「ふふっ、私もよ。蓮くんといられて幸せ。」
『これからもっと幸せになろうな。』
「これ以上？大変ね。」
『だって俺、舞香のこと幸せにする約束しただろ。』
「うん、そうね。」
『愛してるよ。』
「私もよ、蓮くん。」
フッと舞香の力が抜けてきた。
『あ、舞香眠い？』
「うん…ねむってもいい？」
『いいよ、おやすみ。』
「れんくん…だいすき…」
『ん、俺も。』
そう言うと舞香は安心したように目を閉じた。
そして、舞香は二度と眠りから覚めることはなかった。
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作者名：ちょ | 作成日時：2021年11月20日 18時
