運命なんて信じない４ (ページ24)

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舞香からもらったこの２つの大切なもの。
これがあったから俺は舞香が消えた時も
諦めず舞香を探し続けられた。
いつも舞香が俺の側にいてくれる
そんな気がしていたからだ。

「ずっと使ってくれてありがとう。」

『これからもずっと使うよ。』

「えー？箱ボロボロなのに？」

『箱はね。聴診器自体はさすがにいいやつだから全然へーき。懐中時計もさ。』

「そうなの？何か嬉しいな。ふふっ。」

にっこりと微笑む舞香が愛しくて
抱きしめる力を強める。
あ、昔の舞香に戻ってる。良かった。
口に出して言わないけどね。
言うと「太ったって言う意味でしょ！」って怒るからね(笑)

「蓮くん？どうしたの？」

『ん、何かこうしたくなってさ。』

「そっか。なら、いいよ。」

『ね、舞香。』

「なあに？」

『国試も合格したし、あとは卒業だけじゃん？約束覚えてる？』

「……覚えてる…。」

抱きしめていた腕を離し、舞香の正面に座る。
ソファに座った舞香の足元に跪く。
俺はポケットから小箱を出して舞香に差し出す。

『本当はもっと雰囲気のある所でしたかったけど、この時に言おうって決めてたから。』

俺は深く深呼吸をした。

『藤宮舞香さん。俺と結婚してください。』

小箱の蓋を開ける。

「蓮くん……(泣)」

『返事をもらえますか？』

「…はい。私と結婚してください。」

『ふはっ、ダブルでプロポーズ？もちろんだよ、舞香。ずっと隣にいるって約束してただろ？』

「うん。ずっと隣にいる。」

『舞香、手を貸して？』

舞香がそっと左手を出す。
その左手の薬指に小箱の中身をはめる。
ムーンストーンとバール、ダイヤモンドの指輪。
俺と舞香だけの約束の印。

「蓮くん…ありがとう。」

『すごく似合ってるよ。』

舞香の涙を拭い、頬に手を添える。

もう悲しい涙は流させない。
これからは今みたいな嬉しさの涙だけだよ。
　

そして俺は約束の口づけをした。
もう二度と離れない約束の口づけ。

春の日差しが心地良くて
ウッドテラスに出てコーヒーを飲む。
そろそろ帰ってくる頃だ。

「ただいまー。」

『おかえり。手続き完了？』

「うん！完了しました。はい、これ。」

舞香が差し出したのは
区役所からの冊子。
“ご結婚されたお二人へ”

そう。今日、俺達は婚姻届を提出した。
本当は二人で出したかったけど
バレたら大変！と、舞香が提出してきた。
これくらいは一緒にしたかった。

今日、俺と舞香は家族になりました。