蝶よ華よ… 【３】 (ページ4)

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「ねぇ、相葉？」

「は、はい…お嬢様。」

まだ何かあるのかって感じで泣きそうになってる。

「やっぱり胸は大きな方が男性はその気になるの？」

「お嬢様～…これ以上は勘弁してください。和也様に知られたら私はクビにされてしまいます。」

なんとも情けない声を出す相葉は泣きそうって言うかもう半分泣いてる。

「いいのよ。和くんは。」

「お嬢様？」

「私にはダメって言っときながら自分はしてるんだから。しかも私がいる家で。」

「お嬢様？！なぜそれを！！」

相葉の声が大きすぎて耳がキーンと鳴って、思わず耳を押さえた。

そんな私を見て相葉も咄嗟に口を噤み項垂れて。

「いつですか？」

「昨夜…見た？って言うか正確には聞いたんだけど。」

「左様でございますか…。」

もはや諦めの境地なのか、ガクリと肩を落とし声も張りがない。

「別に和くんがそんな事をしてるのが嫌だとかじゃないのよ？」

和くんだって立派な大人の男性だし…。

「はい…。」

私の一言に少しホッとしたのか安心した表情を浮かべて。

「ただ…何でしたいんだろう？って…。」

何か理由があるからしたいんじゃないかな…

その理由がわかれば翔さんが過去の女性にしてたのに私にはしない理由がわかるのかなぁって…。

「だから『気持ちいいの？』ってお聞きになったのですか？」

「うん…。」

相葉はどう答えるか一瞬迷って視線を宙に彷徨わせてからジッと私を見つめた。

「気持ちいいか？気持ちよくないかと問われましたら、私は『気持ちいい』と答えます。」

「そう…。」

「ですが、それは身体だけじゃなく、相手が本当に好きな女性であれば心まで気持ちいいものなのですよ。」

優しい笑顔で諭すように言う相葉は、きっと私が何でこんな事を言い出したのか察しているのであろう。

だから、私が傷つかないような答えを告げる。

「お嬢様？そろそろお休みにならないと…。また熱が上がってしまいますよ。」

肩まですっぽり布団を掛けられる。

「でも男性も…きっと女性だって好きじゃなくてもできるのよね。」

「はい…。どんなに綺麗事を言ってもそれができる人が世の中にはたくさんいらっしゃるのも事実です。」

「だよね…。」

翔さんが呼んだ名前の人はどっちなんだろう…。

家に入れるって事は遊びじゃなく本気だって事よね？

年齢的に私の前に本気で愛した女性がひとりやふたりいてもおかしくはなんだから…。