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朝食の後、お仕事がある翔さんは着替えの和服持った潤さんが迎えに来ると、若草色の着物を自分で手早く着付けて『いってきます』と軽くキスを落として仕事に向かった。
和装姿の翔さんが大好きな私が見惚れてた事に『ふっ』と緩く笑って…
その表情があまりにカッコよくてポーッと見惚れた。
翔さんを見送り、リビングに戻ると…
「和也〜。仕事行くよ。」
椅子に座ったまま気力がなさそうに呆けてる和くんに心底困った表情の智くんがどうにか立たせようと和くんの腕を引っ張ってる。
「和くん？」
「Aちゃん…和也どうにかして〜。」
私に助けを求めるけど、智くんでお手上げなら私にも無理だよ。
「ねぇ？和くん？」
和くんの顔を覗き込み、目の前で手を振るとハッと目に生気が戻りギューッと抱きしめられる。
「痛い…和くん痛いよ…。」
「アイツだってAをギューしてたじゃん。しかも一緒のベッドの中で…。アイツがよくて何で和くんはダメなの？」
「そ、それは…//」
こんな強く抱きしめられてないし…。
「和くん？」
「ん？」
「翔さんと仲良くしてよ…。」
顔合わせる度にケンカって…。
「イヤ。一生、アイツとは仲良くなんてできない。」
「できないんじゃなくてするつもりないんでしょ？」
「うん。」
そんなところばっかり素直にならなくてもいいのに…。
「私ね？和くんも翔さんも大好きで大事なの。その大事な人達がケンカしてるの見てるの辛いよ…。」
「ほら〜…Aちゃん泣きそうじゃん？和也が泣かせるの？」
智くんがそう言うとパッと身体を離して顔を覗き込まれる。
私よりも和くんの目が泣きそうだ。
「和くん？」
「ん？」
「翔さんはとっても大事にしてくれてるわ。」
「…。」
「翔さんの言動は全て私のことを思ってなの。」
えっちしない理由も私を大事に思ってくれるからこそ…
全部が私の為だってわかった。
「私のこと、あんなに大事に思ってくれる人はもういないと思う。」
初めての彼氏があんなにカッコよくて優しいと、もう次は…なんて思えない。
「…和くんよりも大事なの？」
これ以上ないってくらい眉を下げて悲しそうな顔をした和くん。
「ううん。和くんは大事なお兄ちゃん。翔さんは別の意味で大事なの。」
「…でもまだ…和くんの手元にいてよ…。手放す覚悟をするには時間が短すぎるよ…。」
泣きそうな顔を隠すように、また私をキツく抱きしめた。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2018年4月17日 19時
