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お互いにほっぺや耳の縁を赤く染めながら公園内を歩く。
会話のきっかけを探すけど、翔さんの好みとか全く知らないし…
華道家である事と名前くらいしか知らない。
年齢だって私よりも歳上だろうな…くらいで実際の年齢はわからない。
いきなり、そう言った事を聞くのは失礼にあたるのでは？と思い、何か会話になるネタはないかとキョロキョロと視線を巡らした。
「…あ…。」
「ん？どうした？」
ある看板を見てあげた小さな声に翔さんは反応してくれて。
「あ、いえ…何でもないです。」
慌てて首を振るけど、私の視線の先にあった物を見ると、
「…動物園か…。」
簡単にわかってしまった。
「そう言えばパンダが生まれたとか…ニュースでやってたな。」
「…はい。」
「Aは…。」
「はい？」
「Aは動物が好きなのか？」
「…はい。」
動物の目は穢れがなく透き通っていて優しい。
何の計算もなく自分を受けれてくれるんじゃないかと、安心と癒しをくれる。
「そうか…。じゃぁ美術館はやめて動物園にするか。」
「え？」
「興味もない絵を見るよりも好きな物見てた方が楽しいだろう？」
それはそうだけど、子供っぽい私の趣味に合わせてもらうなんて…。
「それに…。」
「はい？」
「好き物見ればお前は笑ってくれるのかな…って…。」
そう言った翔さんは寂しげに笑って見せた。
笑うなんてとても余裕がなくてできなくて…
「怒ってるとかじゃないんです！そ、その…色々緊張してしまって…。」
「あぁ…わかってる。なら尚更、そんな堅苦しい美術館なんてやめちまおう。」
翔さんは方向転換をして動物園の入口に向かう。
「し、翔さん？」
「ん？」
「ほんとに？ほんとにいいんですか？」
「あぁ。俺お前といられりゃどこでもいいしな。」
「〜//」
友達でもない…
恋人同士でもない…
ただお見合いして…
周りが勝手に決めて…
流れでこうやってデートしてるだけだと思ってたのに…
翔さんは押しつけられて嫌々なんじゃないかと思ってたのに…。
そんな曖昧な関係なのに、こうやって手を繋いで彼氏が彼女に言っちゃうようなセリフを言われたら、私は免疫ないし勘違いしちゃうよ…。
「あ、一応行き先変更を潤に連絡……ま、いっか。」
ポケットから出しかけた携帯をそのまま戻す。
「A。行くぞ？」
嬉しそうに笑ってそう言った翔さんは少しだけ歩みを早くした。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2018年4月16日 15時
