蝶よ華よ… (ページ25)

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二宮邸からの帰り道…

「若。」

「…。」

「若…若様？」

「…あ？」

車窓の流れる夜景をボーッと見ていて、潤の呼びかけには気づかず…。

「デートはどうするおつもりですか？」

あの執事によって、とりあえず付き合う…って言うか友達と言うか…

友達以上恋人未満に似た関係になり、週末にデートをする事になった。

見合いから始まった関係に友達以上恋人未満って呼び名の関係もおかしいけど、今の俺とAの関係性を指す、明確な言葉はない。

見合いも一般的で常識的な見合いじゃなかったしな。

「つーか…あのシスコンヤローに曲者執事…。あの女は厄介過ぎねぇか？」

「それでも彼女がいいんでしょ？」

「いい…つーか…。」

言い淀む俺を『クスリ』と笑うから運転席に蹴りを入れてやった。

「あんなに初心な女の子が喜ぶデート…。」

俺がデートするのになんで潤が一生懸命考えるのか…。

「当日どこ行きたいか聞いて、そこに連れてきゃいいんじゃねぇの？」

「若！なんと言う事を！そんなプランじゃ幻滅されてしまいますよ！」

潤のあまりの迫力にたじろいで。

「せっかく若が恋をしたのです。成就すべく私が万全をもってサポートさせて頂きます。」

「は？恋？」

誰が誰に？

「おや？自覚はございませんでしたか？」

「あ？」

「私もあの相葉という執事も気づいていたのに、ご本人が無自覚とは…。」

「は？あの執事もだって？！」

「えぇ。だからこそ助け船を出したのでしょう？つまりそれはあのお嬢様も若に大なり小なり好意を抱いてるという事です。」

まぁ…

あの女が真っ向から俺を拒絶してたら、あんな事は言わなかったであろう…。

「若。」

「…んだよ。」

「初恋は実らないと言いますが…大きな実りがあると私は信じております。」

俺が恋心を抱いてるという前提で好き勝手言いやがって。

「今までの女性のような扱いはもってのほかですよ？特に今回のお嬢様は箱入り娘さんなんですから。」

「わかってるよ。うっせぇな。」

潤はグチグチと小言が多すぎる。

鬱陶しくなって邪険に返事をして再び視線を車窓に移した。

「翔くん…。」

「…あ？」

「彼女…可愛かったね？」

「…。」

「あの外見にあのウブさ…。反則でしょ？堕ちない男いんのかな？」

「さぁな。」

「…俺…翔くんには幸せになって欲しいんだ…。」

………

やっぱり潤はお節介だ…。