蝶よ華よ… (ページ24)

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相葉の目は真っ直ぐで、甘やかすでも突き放すでもない…

どんな私の気持ちでも尊重してくれるような包み込む温かい目。

「…。」

周りの方々の目をひとりひとり見ると、ただ私を心配してくれてるんだって…

もう子供じゃないって自分で言ってたのに、無条件で甘やかしてくれる周りにやっぱりどこかで甘えてたんだって自分が恥ずかしくなった。

相「いいのですよ。ご自分のお気持ちに素直になって。」

余程、不安そうな顔をしてたのか、安心させようと相葉がそう言ってくれる。

背後にいる王子様に視線を向けると、やっぱり悲しそうに私を見てる。

そんな顔をさせたいわけじゃないのにな…。

「…私…。」

相「はい。」

「男性とのお付き合いとか…彼氏とか…あまりよくわからなくて…。」

相「そうですね。お嬢様は和也様が大事にされてきましたので。」

「うん…。」

言葉に詰まる私を急かすわけでもなく、柔らかく微笑んで待ってくれる。

「それなのにお見合いとか…それって婚約とか結婚って事でしょ？」

相「まぁ…一般的にはそうでございますね。」

「うん…。私…人並みに恋愛したいの…。普通の女の子みたいに…って…ずっと……。」

目頭が熱くなって、目に涙が溜まってフィルターがかかったみたいにぼやける。

高校でも大学でも友達の話す恋バナにずっとずっと憧れてた。

友達が話す内容は、いい事ばかりではなく時には浮気とかの話もあったけど、自分の知らない世界がキラキラと輝いていてひたすら憧れた。

いつかは私も…って…。

相「お嬢様のお気持ちはしかとこの相葉が受け止めました。」

相葉はそう言うと、

相「櫻井様。お嬢様をお願いできますか？」

って王子様に頭を下げた。

和「相葉！お前、何を勝手に『お受け致します』」

そう答えたのは松本さんで…。

執事と付き人の間で成立したやり取り。

相「お嬢様？和也様も私もお嬢様が大事ですので、どこぞの馬の骨かもわからない男に託すわけにはいかないのです。」

『それはご理解頂けますね？』って…。

頷くとにっこり笑って、

相「櫻井様は既に大野さんが全てをお調べでしょうし…きっと大丈夫でしょう。ね？櫻井様？」

意味深な視線を王子様に向けると、バツが悪そうに視線を巡らせてかろうじて頷いた。

和「相葉、てめぇ勝手に…。」

相「和也様。お試しですよ。何事も経験です。お嬢様を泣かせる事があればその時は問答無用で切り捨てます。」

そう言った相葉の笑顔が怖かった。