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和くんにギュ〜ッて抱きついてると、背後でカチャリとドアが開く音がした。
ノックもしないし相葉だろうと、とかく気にもせずに和くんにくっついてた。
和くんも和くんで気にする様子もなく私の頭を撫で続けてる。
「和也様、お嬢様にお客様でございます。」
「取り込み中だ。帰らせろ。」
「いや…それが…。」
和くんの命令に珍しく言い澱んでる。
和くんもいつもの相葉と違うと察したのか…
「誰だ？」
「櫻井様でございます。」
「は？誰だ？櫻井なんてAの知り合いにはいない。」
私の交友関係、学校関係者…
私の生活に関わる全ての事を把握してる和くん。
「お華の先生だよ。心配して訪ねて来てれくれたんだ。」
智くんの声で、和くんの胸から顔を上げると…
「！！！」
相葉と智くんの後ろに王子様がいて睨む様に私と和くんを見てる。
何で？
どうして？
気が動転してまた和くんに抱きついた。
私、パジャマだし！
泣き過ぎて目が腫れてるし！
髪はボサボサだし！
「い、いや…。」
昼間に失態の後に、こんな姿…
絶対見られたくない！
「ん？どうした？」
和くんの優しい声と、頭を撫でてくれる手でいつもなら安心するけど今日は心臓のドキドキは治らない。
「いや…ダメ…。」
ギュ〜ッて和くんのシャツを握り締める。
「ん、わかった。帰ってもらおうな。」
コクコクと頷くのに精一杯。
「智。帰ってもらえ。」
「和也。それはあまりに失礼でしょ？次期家元直々に心配して会いに来てくれたのに。」
「次期家元だろうが何だろうが、Aが会いたくないって言ってるんだ。それが全てだ。」
「もぉ〜ホントに甘いんだから。」
智くんの呆れた声に、智くんにも嫌われたらどうしようとか…
もういっぱいいっぱいで。
「Aちゃん？」
和くんとは違った手が背中をトントンとする。
「Aちゃんはもう立派な大人だよね？和也から自立したいならどうするべきかわかるよね？」
「おい、智。余計な事言うな。俺から自立なんてしなくていいんだよ。俺が一生面倒見てやるんだから。」
「和也。いい加減にしなよ。大人としての対応をしなって言ってんの。」
「うるせぇ。俺に指図すんな。Aを惑わすな。」
和くんが智くんの手を振り払った。
私の所為でこの二人まで険悪になったら…
そう思って顔を上げた。
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作者名：しおなな
| 作成日時：2018年4月16日 15時
