蝶よ華よ… (ページ19)

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１９～O～ページ19

和也の到着から遅れる事、数十分…

「大野さん…。」

泣きそうな顔の相葉さんが出迎えてくれて、だだっ広いリビングに通してくれた。

「どうしたの？そんな泣きそうな顔をして。」

「あんなに泣かせてしまい…私…お嬢様の執事失格でございます。」

「そんな事ないでしょ？相葉さんは立派に務めてると思うよ？」

落ち込んでる相葉さんの肩をポンポンと数回叩く。

お茶を持ってきてくれた、和也専属でお気に入りメイドの山岸さんも心配そうに相葉さんを見てる。

「お稽古先で何があったの？」

「はい…それが…実は私にもよくわからなくて…。」

「ん？」

たった数分の出来事を相葉さんは丁寧に話してくれた。

「お嬢様がなぜいきなり帰られたのか…なぜあんなにも泣いているのか…わからない私は執事失格だと…。」

あ、余計に落ちた(笑)

ん～…

俺が予想するには悪い方向に考えるべきじゃない気がするんだよな…。

「ね？相葉さん？」

「はい？」

「先生は若くてイケメンだったでしょ？」

「はい。それはもう。おつきの方も美しい男性でした。」

「あの先生ね？」

「はい。」

「実はAちゃんのお見合い相手なの。」

「はっ？！なんと！」

驚き目を見張って、わざとなのか天然なのか後ろに仰け反った。

「それは本当でございますか？」

「うん。知らないのは本人同士だけかな。」

先に見合いっていう前提を告げて連れて行っても、向こうの相手もAちゃんも素直に応じないだろうという家元と社長の結論から今回こういう形にはなった。

Aちゃんは外の世界と接る事ができるいい機会で、異性と出会う機会もないから応じたかもしれないけど、Aちゃん以上に和也がねぇ…。

その和也も結局は鋭い勘で察知してたみたいだけど。

知っていてよく許したなって思うけど、先日の相葉さんの一言が余程効いたのかなと…。

確かに笑う事が少なくなったもんな…。

笑っててもどこか儚げで、大輪の花が咲いた様な笑顔なんてずっと見てない。

「相葉さんはいい執事だよ？ちゃんとAちゃんの事見てるじゃん。」

「…ありがたきお言葉…。」

「ここの執事クビになったら会社に入れてあげるから心配しないで？最終人事決定は和也じゃなくて社長だからさ。」

冗談混りに話していると、セキュリティが反応して相葉さんが対応に向かった。