同居なんて聞いてないんですけど【となりの坂田。】

よん ページ5

『はーっ、疲れたぁ』
ソファに倒れ込んで、近くにあったひげまんじゅうのぬいぐるみをつんつんする。

「あーっ、ぼくのひげまんじゅう…」
『さかたんもこっちおいでよ』
私がそう言うと、さかたんは顔を赤らめた。

「…無防備」
『…なんか言った？』
「言ってない」
そういいながらさかたんは近づいてくる。

「とりゃ」
『ぎゃっ…んぁ！？』
私の…私の…私の！

『ファーストキスとりやがって…！許さん！』
「顔真っ赤やで」
『怒ってるの！あぁぁぁぁぁぁ』
無理無理無理。私のファーストキスが…。

高校生時代の彼氏ともキスしなかったのに。
ずっと守ってきたのに…。
よりによって今日であったこんな男に…。
許さん…！

『もうこーなったら…おりゃっ』
「…っ！？な、何するん！？」
『仕返し……って…あぁぁぁぁぁぁ！私のセカンドキスも渡しちゃった…』

「あほすぎるやろ」
『知らないよ！うわぁぁん…』
さかたんはニヤリと笑う。何を企んでるのかなぁ？

「今日ベッド、ひとつしかないんやけどどうする？」
『はぇ！？』
ベッド…ひとつ…それ。

『やらしいこと考えてないよねぇ？』
「はぁ！？考えとるわけないわ！」
『へぇ？』
さっきいきなりキスしてきたやつが何も考えてないわけないよね？

「わかったから！僕ソファーで寝るから！」
『じゃ、ベッド借りまぁす』

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