必死の抵抗 ページ4
「...で、この笑顔がメチャメチャ瞬殺的なコがギグァンくんね？ んで、このありえないほど超小顔だけどお腹割れてんのがヨソプ♪ ...少しは覚えました？」
んな、こんないっぺんに、しかも6人も覚えられるワケないじゃない。
もぉ私にはみんな同じに見えてきたよ...
「お、おばちゃんにはムリだと思う...」
「おばちゃんって...こん中でAさんより年下って、ドンちゃんだけじゃない？たぶん...」
「えええええぇぇぇぇ〜〜っっっΣ(Дﾟ;/)/」
「ちょっ、声おっきすぎますってば!! ほら、みんな見てますよっっ!!!」
あわあわあわ...な、なんて衝撃...
後輩の手にある彼らのきらびやかな写真と、すこぶる地味な格好をした現実の自分を見比べてみる。
「私にはやっぱムリだ...こぉんなキラキラしたヤングたちと並んで写真を撮るだなんて、分不相応のナニモノでもないと思う....」
イヤだイヤだと必死に抵抗する私に、彼女が言った。
「ダイジョブ、たったひとりとだけ撮ればオッケーですから、ね？」
なにがなんでも全員と撮りたかった彼女は、大金をつぎ込んでCDを買いまくり、SNSで交換を呼びかけたりして、なんとか揃ったんだそうだ。
いくつかダブった中で最後まで迷って手放せなかったメンバーひとりと、とりあえず時間的なモンダイもあって撮れないともったいないから、私にその彼とチェキを撮れと、そういうコトらしい....
「モチロンもったいないってのもあるけど、ようは並んでる間『ぼっち』は寂しいんですよぉぉぉ〜〜」
そこ？
ならもっと適任なヒトがいるんじゃないの？
「や、まったく興味なさそうなAさんになら、私的に嫉妬しなくて済むからぁぁぁ〜〜♪」
イヤだと必死に抵抗してる間に、気付いたらチェキの順番がもうすぐそこまで迫っていた。
「.....わかったわよ....」
仕方なく承知すると、
「よかった〜〜♥♥♥ どーせなら、可愛く撮ってきてね〜〜〜♥♥♥」
で、なんで？
なんでよりにもよって、こぉんなに顔のちっさい男子と撮らなきゃなんないワケ？
私に逃げられないようにと、彼女が真っ先に並んだ列....そこには大きく『ヨソプ』と書かれていた。
そして、明らかに相手の女の子よりも小顔な彼の笑顔が垣間見えてくるにつれ、本気で逃げたいと強く思うのであった。
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作者名：ちひな
| 作成日時：2015年8月8日 6時
