妹、遂行する3 ページ28
今から三日前
「絶対反対や！！そんなん行かせへんからな！！！」
会議室に珍しい男の大声が響き渡った。
普段緩め過ぎなほどに緩んでいる顔は、いつもの倍以上にしっかりとしていて、更に拒絶に満ちている。珍しく大きな反応をした彼に驚く者が大半で、静まり返る会議室には興奮した彼の荒い呼吸しか聞こえない程だった。睨みつけるような視線の先にはこの機関の最高責任者であるグルッペンがいて、見つめられている張本人は怯む様子もなくただ黙って見つめ返していた。
「もう決定事項だ…大先生が何か言った所で変わる訳でもない。」
「大先生ちょっと落ち着けや。な？」
「なんなんトンちまで！トンちは知っとる筈やろ？！」
「わかっとる。分かってるけど……」
『鬱兄。トンちゃんは何も悪くないから当たらないで？』
「確実な勝利を収めるためにAが自ら申し出た事だ。」
「Aちゃんが……？」
唖然とした表情でAを見た鬱はよろめきながら彼女の肩をつかむ。その顔はだんだんと悲痛なものを感じさせるように歪み、肩を掴んでいた手にも力がこめられた。
常に自分の傍に居るときは彼女を危険から避けさせるようにしていたというのに、今は必死に守ってきていた彼女が自ら危険に飛び込もうとしている。そして、それをあろうことか彼女を昔から知っている知り合いが肯定している事実が、現状が彼にはどうにも許容できなかった。自分に縋り付くように見つめる鬱を彼女は申し訳なさそうに見ていた。
事の始まりは先日の会議の後、オスマンの部屋で協力を頼まれた時だ。あの後数回の会議をトントンを交えて重ね、この作戦が出来上がった。緊急招集をかけてグルッペンが第1作戦の全てを告げた瞬間、鬱は今までに類を見ないほどの激昂を見せた。
「そもそも、そういう仕事は僕が担ってたやんか。」
「相手は男だ、オスマンの話によるとこの前の外交の時点でAは注目されていたという。絶好のチャンスじゃないか。」
「チャンスって…。」
「まぁAがハニートラップの役割っていう事やんな。」
「そんなん、Aちゃんがやらなくても僕だってできる！外交官の女捕まえて吐かせれば同じやろ？この子に危険なことさせんといて。」
その時の事を後に語った幹部たちは口をそろえてこう言っていた。
ぷつり、と何かが切れる音がした、と
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零歌 - え、うますぎでしょ！？ 憧れます‼ 続き、待ってます、！ (2023年3月31日 6時) (
レス) @page36 id: 2cc0278ca8 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメル(プロフ) - 面白いところで終わってしまった…！！これからも、気長に作品更新を待っているので無理のないようにしてください！いつでも待ってますから！！！ (2022年8月17日 9時) (レス) @page36 id: 803f58ab86 (このIDを非表示/違反報告)
歴(プロフ) - 小雨さん» こんな更新停滞小説にコメントありがとうございます神作品などありがたいお言葉まで！！そのうちひょっこり現れたらまた楽しんでいただければと思います。 (2020年11月22日 17時) (レス) id: 957608dc41 (このIDを非表示/違反報告)
小雨 - 歴さん。こんにちは！いやー見た瞬間に神作品だと分かりました()更新無理しないでください！出来るときにフラッと帰ってきて下さいね！それまでのんびりと待っておきます！ (2020年11月9日 10時) (レス) id: 459de324fd (このIDを非表示/違反報告)
歴(プロフ) - めっぴぃーさん» こんな更新されてるかも分からん作品にありがたいコメントありがとうございます。のろのろ具合は変わるかわかりませんが、気長に待っていただければと思います。 (2019年1月5日 2時) (レス) id: 957608dc41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：歴 | 作成日時：2017年8月15日 21時
