妹、悪戯する2 ページ19
ようやく椅子に座ったトントンは大きく息をはいた。おそらくこの後まだ残っているだろう仕事の事は今だけは忘れていてほしい。と願ってやまない。
鬱がそそくさと出ていった扉をじっと見つめていたグルッペンに気づいたトントンが、今既に限界の来ていそうな頭を働かせて問いかけた。
「グルさん、どうかしたん？」
「別に……懐かしいものを見たなと思っただけだ。」
「懐かしいもの……？」
「それよりトントン、少しお前は休め。その気休めの珈琲ではお前の頭は正常に動かんだろ。後少しでモノは片付くし俺も終わったら寝る。」
呼ばれた方を向けば目の前で不思議そうな顔をしながらカップを片手に船を漕ぐ器用な彼を見て、グルッペンは苦笑いしながら休養を勧めた。普段ならお前の方こそ寝ろとまくし立てられるはずが、素直に従うよう頷くトントンに、彼が何徹めなのか思い出しながら珈琲を啜った。
「あれ、こんな所でなにしとるんです？って……煙草か。」
「エミさんこそ珍しいやん。」
「グルッペンに報告の用がありまして……私もご一緒しても？」
「どーぞ。」
一方その頃、小さなテラスのような場所で煙草を吸っていると、珍しくエーミールが顔を覗かせた。表向きは軍学校の教授をやっている彼がなかなかこの城に現れないのはいつもの事なのだが、最近はよく出入りしているように見受けられる。了承を得て鬱の隣に来ると、倣うようにタバコを出し少しふかしてから口を開いた。
「こんな所で油売ってて大丈夫なんですか？」
「まぁまぁエミさん、息抜きって大切ですやん。」
「そういう事ばっかりやってるから怒られるんですよ。」
「否定はせんけどね。」
「そういえば、Aさんと大先生は兄妹なんですよね？」
「ああ、そうそう。僕もエミさんとAちゃんが知り合いなのから知らんかったけどな？」
肯定するように頷けば感心したようにまじまじと見つめられ、少しだけ居心地の悪そうに目線を逸らすとエーミールから「あ、すいません。つい。」と笑っていた。追求癖のあるエーミールは、興味深いものを見るとしばらく見てしまう。別に悪い気はしてないのだが、至近距離で無言で見つめられるのはいささか度胸がないと辛いものがある。
「いやー驚きました…確かに言われてみればお2人とも似てる所あると思います。」
「へぇ…それは初めて言われた。」
「そうなんですか？」
「本当に兄妹か？って聞かれることのが多いかな、Aちゃんとは。」
そう言って遠くを見つめる鬱の顔は名前通り憂いを帯びていた。
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零歌 - え、うますぎでしょ！？ 憧れます‼ 続き、待ってます、！ (2023年3月31日 6時) (
レス) @page36 id: 2cc0278ca8 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメル(プロフ) - 面白いところで終わってしまった…！！これからも、気長に作品更新を待っているので無理のないようにしてください！いつでも待ってますから！！！ (2022年8月17日 9時) (レス) @page36 id: 803f58ab86 (このIDを非表示/違反報告)
歴(プロフ) - 小雨さん» こんな更新停滞小説にコメントありがとうございます神作品などありがたいお言葉まで！！そのうちひょっこり現れたらまた楽しんでいただければと思います。 (2020年11月22日 17時) (レス) id: 957608dc41 (このIDを非表示/違反報告)
小雨 - 歴さん。こんにちは！いやー見た瞬間に神作品だと分かりました()更新無理しないでください！出来るときにフラッと帰ってきて下さいね！それまでのんびりと待っておきます！ (2020年11月9日 10時) (レス) id: 459de324fd (このIDを非表示/違反報告)
歴(プロフ) - めっぴぃーさん» こんな更新されてるかも分からん作品にありがたいコメントありがとうございます。のろのろ具合は変わるかわかりませんが、気長に待っていただければと思います。 (2019年1月5日 2時) (レス) id: 957608dc41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：歴 | 作成日時：2017年8月15日 21時
