妹、舞踏する5 ページ17
ゾムが呼びつけておいた馬車に乗り込めば、大きなため息が誰ともなく発せられた。
城にたどり着いて馬車をおりるとグルッペンからゆっくり休めとの指示が出されたAは着替えるべく自室に向かい、トントンやオスマンもそれに倣うように向かっていた。指示を出した張本人はというと、総統室までの廊下を歩きながら呟くように口を開いた。
「ゾム、護衛ご苦労だったな。」
「どーも。」
「Aはどうだ？俺は常にそばに居る訳では無いから、様子がいまいち把握できんからな。」
「……別に？たまに背負いすぎなところあるけど、流石グルッペンのお気に入りなだけあるわ、よおできる子やなって思ってる。」
「それだけか？」
「……どういう意味？」
「そのままの意味だが？」
声を出したらどこからともなく現れたゾムは壁にもたれかかりながらいぶかしげな顔でグルッペンを見つめた。気が利いて、頭も切れて、実力もあって仕事が早い。彼が推薦する理由もわかるという点では、ゾムは間違ったことは一つも言っていなかった。なおも言葉をつづけさせようとする彼の言動にグルッペンの質問の意図がいまいちわからず、寄せた眉を解くこともせずに首を傾げながらほかの言葉を探していた。
「せやなぁ…何でもできるけど、なぜかほっておけん子やなぁとも思ってるかな。」
「ほう、お前にしては珍しいコメントだな。」
「何やねんそれ」
「お前は他人にあまり興味が薄いタイプだと思っていたからな。」
「心外やな、情くらいあるわ。」
確かに人情というものはこれまでの人生でどこかに落としてきたというくらい薄いゾムにとって仲間とそれ以外という認識すら軽薄なものに過ぎなかった。彼はいざとなればこの目の前にいる男を、殺せという命令すら完遂できる。だからこそそばに置いているのだとどこかでグルッペン本人が話していたのをゾムは思い出した。
確かに自分が思う以上に彼女を気にかけているのは自覚していた。はじめての現場だから、困っていないか様子をうかがっていたのもあるが、何でも屋をしていた時代に経験があったのか何かとそつなくこなしていた。流石に元王に喧嘩を売ったときはびっくりしたものだが。
「何かとAにかまってやっているみたいだからな、少し気になっただけだ。そう怖い顔はするな。」
「ふーん…そんなら別にええですけど。」
「まあ、これからもよろしく頼んだぞ。」
「はいはい。じゃ、俺はこれで。」
そそくさと姿を消したゾムのいたあたりを見つめ、グルッペンはニヤリと笑ってから再び総統室へと歩を進めたのだった。
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零歌 - え、うますぎでしょ！？ 憧れます‼ 続き、待ってます、！ (2023年3月31日 6時) (
レス) @page36 id: 2cc0278ca8 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメル(プロフ) - 面白いところで終わってしまった…！！これからも、気長に作品更新を待っているので無理のないようにしてください！いつでも待ってますから！！！ (2022年8月17日 9時) (レス) @page36 id: 803f58ab86 (このIDを非表示/違反報告)
歴(プロフ) - 小雨さん» こんな更新停滞小説にコメントありがとうございます神作品などありがたいお言葉まで！！そのうちひょっこり現れたらまた楽しんでいただければと思います。 (2020年11月22日 17時) (レス) id: 957608dc41 (このIDを非表示/違反報告)
小雨 - 歴さん。こんにちは！いやー見た瞬間に神作品だと分かりました()更新無理しないでください！出来るときにフラッと帰ってきて下さいね！それまでのんびりと待っておきます！ (2020年11月9日 10時) (レス) id: 459de324fd (このIDを非表示/違反報告)
歴(プロフ) - めっぴぃーさん» こんな更新されてるかも分からん作品にありがたいコメントありがとうございます。のろのろ具合は変わるかわかりませんが、気長に待っていただければと思います。 (2019年1月5日 2時) (レス) id: 957608dc41 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：歴 | 作成日時：2017年8月15日 21時
