コード・ブルー：６・責任と苦悩 (ページ8)

今日:15 hit、昨日:4 hit、合計:117,867 hit

１４０ページ8

・藍沢side＿＿＿＿＿

ヘリ勤務を終えて、また頭から血を流しながら帰って来た彼女に傷の手当をしてやると、着替えてくる、とすぐに更衣室へと向かってしまった。

藤川「お、胡桃待ちか？しっかしお前も大変だな、彼女が毎回危ない目にあってたんじゃ、俺なら頭おかしくなるよ。」

そう笑いながら入って来た藤川は、冴島を待つのか廊下のベンチに座る俺の横に腰を下ろした。

正直今日もいろいろ気疲れしたのは否定できないと思い藤川に同意する。

藍沢「本当にそうだな。」

藤川「弱気だな～、藍沢。なんかあったか。」

藍沢「いや、特に何もない。」

藤川「お前がどんだけポーカーフェイス気取ってても、俺には丸わかりだぞ～。伊達に９年間お前のライバルとしてやって来てないからな。」

そう茶化しながらいう藤川は、いつもさりげなく手を差し伸べてくる。

藤川「お互い何考えてるか、よくわからなくなることだってあるよな。近くにいるはずなのに、遠く感じることだって。だから近くにいるときこそ、俺ははるかになんでも声に出して伝えるようにしてる。」

そう優しい表情で言う藤川は俺なんかより、いや、大抵の人間よりはるかに人付き合いがうまい。

藤川「まぁお前みたいに口下手な奴は難しいんだろうけどな。俺はいつでもお前の悩み話を聞いてやっからよ。」

そう言い俺の肩をたたく藤川。

藍沢「ずいぶん自信がありそうだな。」

藤川「お前よりははるかに優れてる自信はあるな。」

藍沢「言ってろ。」

そう言いながらも藤川の屈託ない笑顔につられる。

するとタイミングよく冴島が出て来た。

冴島「あ、藍沢先生。胡桃先生なら今出てくると思う。今日から一緒に住むんだってね？」

藤川「あ～、今日からなのか～。」

そうニヤついてくる藤川。

すると冴島が急に俺の方へ一歩近づいた。

冴島「胡桃先生、きっと不安がってる。藍沢先生に信用されてないんじゃないかとか、これからどうしたらいいのかとか。藍沢先生、胡桃先生にちゃんと話してあげてほしい。頭の中では伝えた気になってても、案外伝わってないことってあると思うから。」

そう言う冴島の目は真剣そのもので、彼女がAを思う気持ちが伝わってくる。

それと同時に俺はどれだけ彼女を振り回しているのかと反省する。

藍沢「わかった、今夜はなすことにする。心配かけてすまない。」

冴島「藍沢先生なら大丈夫。」

そう笑って冴島と藤川は二人で帰っていった。