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・藍沢side_____
周りに色々勘付かれているのはわかっている。
頭で考えることが表に出にくい俺でも、長い年月を過ごしてきたこいつらに隠し事は通用しない。
胡桃はあの夜何が起きて、俺が何を思っているのかを知られている。
それにあいつには話しておこうとなんども思った。
けれど帰る部屋はまだ違って、お互い忙しくしているため、夜無理に起こして話そうという気にはならなかった。
あいつのいうことは正しい。
俺の患者は天野奏だけではない。
でもどうしても、彼女の震える指先を見て頭に浮かぶのは、あの夜に手術室から出て行く俺の姿だった。
すると胡桃に声をかけられる。
胡桃「ねぇ、今日何時に上がれそう?」
藍沢「急患が出なければ残りの資料に目を通してから帰る。先に帰っててくれ。」
胡桃「忘れてるでしょ。なんのために早上がりにしたと思ってんの?今日から同じ部屋に帰るんだよ。」
藍沢「…忘れてた、悪い。」
俺がばつが悪そうにそう呟くと彼女は起こりもせず、いつも通りの口調で話し出す。
胡桃「まあ覚えてないだろうとは思ってたけど。その資料は急ぎ?」
藍沢「いや。」
胡桃「だったら一緒に帰ろ。最近全然一緒にいれてない。」
確かに最近はまた忙しくしていて、帰る時間もバラバラなため、出退勤すら一緒にできていない。
そういう彼女はきっと話したいこともあるだろう。
藍沢「あぁ、わかった。今日はヘリか。」
胡桃「そう、灰谷と。ヘリ降りたら今日はそのまま帰れるから、待ってて。」
藍沢「わかった。」
そう話しながら、医局に入ると、ホットラインがなった。
「津田沼消防より、ドクターヘリ要請です。常総電鉄東津田沼駅付近の踏切で人身事故が発生。負傷者3名。」
橘「踏切事故で3人?」
「高齢の女性が踏切内に立ち往生しているところを、救助に当たった二人が巻き込まれたようです。」
無線を聞いてすぐに胡桃と灰谷、そして雪村が医局を飛び出した。
これは3人とも運ばれてきそうだと判断した俺たちも受け入れ準備を始めた。
・Aside_____
ヘリに乗り込み、患者情報を受け取る。
胡桃「患者情報をお願いします。」
「80代女性はショック状態で、レベル二桁。20代女性は意識あります。30代男性がレベル3桁で、頚動脈が触手できません。」
なかなか厳しい情報が入ってきた。
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Flower(プロフ) - 大変だと思いますが、更新頑張ってください! (2020年3月28日 1時) (レス) id: cd08cf8264 (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になってます この作品はもう更新されないのでしょうか? (2019年8月26日 1時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
さらんりちぇ(プロフ) - 更新期待してます (2018年7月6日 8時) (レス) id: f4f18cc943 (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - 藍沢ですよヾ(・ω・`;)ノぁゎゎ (2018年6月28日 11時) (レス) id: e75ef3ebbf (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています!このストーリーはこれで終わりなのでしょうか? (2018年6月27日 9時) (レス) id: 6124a9987a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Chloe_the_story_teller | 作成日時:2018年4月12日 13時