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・白石side_____
夜遅く、ヘリの着陸失敗に関する処分内容を聞かされた。
誰が悪かったわけでもない。
当日の飛行条件を大きな原因と見た今回の判断。
そう理解して、私も今後のフェロー教育をもっと徹底していかなければならないと心に誓った。
すると出勤してすぐに、灰谷先生が遠くからこちらに走ってくるのが見えた。
灰谷「どうしてですか!!!」
白石「ん?」
灰谷「ルール違反をしたのは僕なのに、どうして僕は処分されないんですか!!!」
白石「あなたが早川さんを急かしたことは、着陸失敗の原因とは認められなかった、それだけ。」
それでも灰谷先生は食い下がろうとはしない。
灰谷「僕のせいでしょ!!それでヘリは二週間も飛ばない!!助からない人は必ずいる!!」
興奮状態にある灰谷先生を一度落ち着かせようとするも、私の声は虚しくかき消された。
白石「灰谷せんせ…」
灰谷「僕はせめて欲しかった!!お前のせいでヘリが落ちたんだって!!!」
白石「灰谷先生を責めることなんてできない!!!」
自分でも珍しく声を上げる。
幸いここはエレベーターの中で患者からは見えても聞こえてもいない。
このままだとどんどん自分を追い詰めようとする灰谷先生を止めたいという思い出私も必死だった。
白石「…灰谷先生が急いでくれって言ったのは、大島さんを助けたかったからでしょう?その気持ちはみんな同じだから。」
そういうと静かになった灰谷先生。
少し落ち着いたのかと思ったのに、どうやら違うようだった。
灰谷「…二人は、僕のせいで結婚式を挙げることはできなくなった。。。」
彼がこうまで責任を感じて苦しむ姿が、9年も前の自分の姿に重なった。
自分のミスで、外科医の恩師が大切な利き腕を怪我した。
そして、最も信頼できる同期の藍沢先生と胡桃先生に、恩師の腕を切断させる羽目になった。
医者を続けられなくなった恩師、黒田先生はもちろん、二人の友人は自分の手で恩師の医師生命を立たせることとなった。
あの時の二人の苦しみは到底計り知れない。
そして、それを起こした張本人である私は、いまの灰谷先生のように自暴自棄に責任を負いたい、自分を責めて欲しいと、一人で追い込み続けた。
そこから救い出してくれたのは、やはりあの五人だった。
藍沢先生も胡桃先生も、私なんかより苦しんでいたはずなのに、私を助け出してくれた。
灰谷先生にもそんな仲間がいるだろうか。
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Flower(プロフ) - 大変だと思いますが、更新頑張ってください! (2020年3月28日 1時) (レス) id: cd08cf8264 (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になってます この作品はもう更新されないのでしょうか? (2019年8月26日 1時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
さらんりちぇ(プロフ) - 更新期待してます (2018年7月6日 8時) (レス) id: f4f18cc943 (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - 藍沢ですよヾ(・ω・`;)ノぁゎゎ (2018年6月28日 11時) (レス) id: e75ef3ebbf (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になっています!このストーリーはこれで終わりなのでしょうか? (2018年6月27日 9時) (レス) id: 6124a9987a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Chloe_the_story_teller | 作成日時:2018年4月12日 13時