コード・ブルー：４・失う痛み (ページ6)

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・藍沢side＿＿＿＿＿

冴島たちが出て行ってから、胡桃と白石はもちろんだが、横峯と灰谷はよく動いたと思う。

患者の命を救うことができた。

しかし…

藍沢「意識障害の原因は、低酸素脳症だろう。溺れた時間が長すぎた。」

横峯「植物状態ですか？」

藍沢「その可能性もある。」

するとそこに、レスキュー隊員の治療にあたっていたはずの名取が帰ってきた。

名取「戻りました～。」

白石「どうだった？」

名取「あ～、上腕骨骨折のレスキュー隊員は、現場近くの酒々井中央の救命に受け入れてもらいました。他の二人は軽症なんで、上里北病院に。」

ヘラヘラと話す名取を見ている胡桃の怒りがひしひしと伝わってきた。

ふだん物言いはきついものの、トーンを崩すことなく淡々と話す胡桃が、今朝は珍しく名取に声をあげた。

誰が見てもイライラする態度で救命をうろつかれると周りもうんざりする。

一応担当指導医である胡桃は前にもぼやいていたことがあったが、自分が受け持った以上責任は感じているらしい。

『もっと厳しく言わないとわからないタイプの子なのかな？なんか最近心開いてきてると思ってたのに…』

そんなことを胡桃が入っていたのがほんの２、３日前だ。

すると救命の電話が鳴った。

まだ全員吉崎さんのベッドを整えている最中で、名取が自分で出るといった。

名取「はい。…あぁ、名取です。先ほどはどうも。」

酒々井の救命か、上里北病院のどちらかだろう。

ただ。

どちらにしても搬送先の病院から電話がかかってくるとは、何か良くないサインなんじゃないかと、胡桃も瞬時に思ったようだった。

すると案の定…

名取「…え？」

名取の表情が一瞬にしてひきつる。

それを見た胡桃がすかさず口を出した。

胡桃「何、どうしたの。」

名取「酒々井中央病院から…今運んだレスキュー隊員が、急変した、って…ショック状態で意識ないみたいです。」

こんな時にもヘラヘラ話す名取から電話を奪う胡桃。

胡桃「翔北救命センターの胡桃です。ショック状態というのは？」

すると普段はあまり見せることのない厳しい視線を名取に向ける。

さすがの名取も目をそらした。

胡桃「…分かりました。すぐにヘリで向かいます。」

そう言った胡桃は、その足でヘリポートへと駆け出した。

俺たちはまた、次の患者の受け入れ体制を整えることとなった。