コード・ブルー：４・失う痛み (ページ4)

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・白石side＿＿＿＿＿

遅れてヘリに乗り込んできた名取先生は緊張感が足りていない。

胡桃先生も名取先生をキビキビ動かすのに、いつも苦労していて大変そうだ。

ヘリの中で患者が２名に増えた。

一人は意識のある骨折患者。一人は溺れて意識の無い重症患者。

すると名取先生が言った。

名取「俺がレスキュー隊員の方に行けばいいんですね。腕の骨折だけみたいだし。」

半笑いで余裕そうに言い放つ名取先生は正直現場にいてくれない方がいい。

骨折だけの患者だとしてもこんないい加減な態度の医師には診てほしく無いが、医師は二人しかいないのでやむを得ない。

白石「お願い。名取先生を現場に降ろした後、私と雪村さんで成田川へ向かいます。」

CSにそう一報を入れて、１つ目の着陸場所で名取先生が降りた。

搬送を終えて名取先生を残して翔北に戻ると、初療室で全員揃って処置の準備がされていた。

雪村「吉崎浩二さん、26歳。川に流され救出時には心肺停止。ヘリ内で再開。血圧85の50。心拍数120。移します。」

『１、２、３！』

藤川「これはなかなか厳しそうだな～。」

藍沢「やれるだけやろう。」

胡桃「もう一度全身チェックしよ。」

その言葉に全員が頷く。

藤川「エコー持ってきて。こっちCV入れるよ。」

横峯「はい！」

灰谷「Aライン入れます！」

藍沢「瞳孔散大。」

胡桃「頭部CTオーダーして。」

目の前にいるのはなかなか助けるのが難しく思える重症患者。

救命の空気をいつも以上に張り詰めていた。

＿＿＿＿だから、誰も冴島さんの異変に気づかなかった。

すると突然した大きな音とともに冴島さんが倒れたのが見えた。

胡桃「冴島？！」

藤川「…はるか？」

その場にいた全員が音のなった方向を見て凍りつく。

お腹に命を身ごもっている冴島さんが、倒れている。

出血もあり、本人は苦しんでいる様子だった。

みんなどうすればいいのかわからなかった。

するとさすが、緋山先生が前に出た。

緋山「私が見る、エコー。ちょっとお腹見るね。」

そう言って緋山先生が診察を始めたところで藍沢先生と胡桃先生は我に帰り、吉崎さんの治療に意識を戻す。

緋山「まずい、娩出が始まってる…」

藤川「え？」

冴島「なんで？」

緋山「分娩室まで運ぶ時間ないな。処置室空いてる？雪村しっかりして。」

パニック状態の雪村さんはやっとの事で頷き、冴島さんは処置室へ運ばれていった。