コード・ブルー：４・失う痛み (ページ15)

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・緋山side＿＿＿＿＿

雪村から連絡があり、すぐに診療室に向かうとそこには怪我に怪我を重ねた緒方さんが寝かされていた。

雪村「リハビリ中に転倒したそうです。」

緒方「ちょっと、張り切りすぎちゃったかな。」

そう言って笑う緒方さんを見て安心する。

仕方なく緒方さんの奥さんに連絡を入れた。

緋山「あ、翔北救命センターの緋山と申します。緒方さんの奥様でいらっしゃいますか？」

緒方妻「はい…」

緋山「突然すみません、先ほどご主人がリハビリ中に転倒して、怪我をされまして。傷は大したことはないのでご心配入りませんが…」

そこまで言ったところで突然奥さんが口を開いた。

緒方妻「すみません。わざわざお電話をいただいて申し訳ないんですけど、私の方へはもう、連絡は結構です。離婚するんです。離婚届、もう署名も捺印も押して渡してあります。ですから、もう…」

私はそっと緒方さんを振り返った。

どうやら電話越しに会話の内容がわかった様子だった。

すると目があって、少し辛そうに笑った緒方さん。

私は今、どんな感情なのか、自分でもよくわからなかった。

・Aside＿＿＿＿＿

あれから名取に胸腔ドレーンを叩き込み続け、退勤前にICUを見て回っていると、名取が倉田さんの点滴を変えていた。

胡桃「どう？」

名取「食事が取れていないので、ソルデム3Aにしました。」

胡桃「そっか。」

すると名取が急に声を上げたので患者さんも皆びっくりしたようにそちらを向いた。

名取「そんなに自分責めないでください！あそこって、狭かったじゃないですか？増水もしてたし。あの状態で全員助けられなくても、誰も責められないですよ。」

いつも見たく挑発的な口調で話し出す名取を止めに入る。

胡桃「名取、こっち来なさい。」

すると今度は、倉田さんが口を開いた。

倉田「確かにそうだ。でも…レスキューの現場に条件のいい時なんて、ない。だから、何か起きた時言い訳をしようと思えば、いくらでもできる。資機材が足りなかった、通報が遅かった、だから救えなかった。そういえば許されるだろう。でも、そんな言い訳をする人間に、命を預けたいと思うか？人は、起きたことは全て自分の責任だと言い切れる人間に、命を預けたいと思うものだ。俺の仕事はそういう仕事だ。ドクターヘリだってそうでしょ？」

そう行った倉田さんに、珍しく感情を見せる名取は、苛立った背中をこちらに向けてICUをでて行った。