隣のクラスの君。Ⅱ (ページ37)

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先生の解散の声で、一気に教室は五月蝿くなる。
早く帰ろう、
特に友達とか居なかったし、
教室を抜け出し当たりを見渡す。何となく彼を探してしまいそうで、見て見ぬふりしながら玄関に向かう。

明後日には引っ越すし、早く片付けしないとな。
私結構溜めちゃうタイプだし、
まだ引き出しは手付けてないんだ。色々思い出らしいものが入ってて、過去を遡りたくなくて。
君から貰った、あれこれ。家に置いていくか、捨ててしまうか悩む程だ。

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『お嬢さん？お帰りになるのですか。』

「え、？あぁ、辰哉くん。」

『写真撮ろうよ！ね？』

「うん、分かった。」

彼に手を繋がれ、着いていく。
彼が行った場所は意外な場所だった。
あれ、ここって屋上？わざわざなんで、

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『大した意味はないんだけどねぇ、やっぱり自然光の方が盛れるじゃん？』

「確かに、そうだね。」

『んー、何処が1番上手く映るかなぁ、あ！康二連れてくれば良かったなぁ。アイツ写真撮るの上手いし。』

「康二くんいつも写真撮りたがってたよね、」

『いっつもカメラ持ち歩いてたし、そのくらい好きなんだろうねぇ、』

『あ、ここはどう？ほら、近ずいて！』

「あ、ちょっ、」

シャッター音がなり、ぎこちない笑顔だったかも、
なんて思い返す。
でも隣を見ると彼はスマホ見ながら笑っている。
髪に隠れたピアス。緩く縛ったネクタイ。
仄かに香る柔軟剤。
彼の首までしか背がないがこの眺め。

何もかも懐かしいに過ぎない。

貴方といる時間、色んな事忘れられた。
淡い時間。

彼女として恥ずかしくなかったかな。私。

そんな事聞けないけど。

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『んー、まだお友達と写真撮る？俺待ってるよ。』

「あ、いや大丈夫だよ。辰哉くんと撮れたから。」

『え！じゃあ俺しか撮ってないって事？！めっちゃ可愛いじゃん』

「う、うん。一応さ、」

『んー、可愛いねぇ、』

もう、こうして抱きつかれるのも最後か。
心地よくて、何より安心した。

暖かかった。彼の温もりが。その手が。

「ありがとう、辰哉くん。」

『えぇー？何？ありがとうって、もっと一緒に居るんだよー？』

「そうだよね、分かってるよ。」

『絶対会いに行くからね。』

「待ってる。」

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その嘘すら嬉しいと感じる。