部下の遺体と雇い主 ページ3
6年前
部下の最期の言葉を聞かない日なんて無かった。
「早く行ってください!」
一つの組織を潰すため、僕の部下、土屋 鈴の命は消えた。
心臓を撃ち抜かれ、紅い花の様に散った。
『僕がもっと早く気付けば…』
「死にたくないよ・・・尾崎さん・・・」
青木 駿は生きようと足掻いた。
でも、最期は僕を狙撃手から身を呈して守ってくれた。
『生きたいんだか死にたいんだか…』
「生きてこの街を守るんだろ?幹部殿。」
山田 唯吹は仲間思いで、最期まで僕について来てくれた。
囲まれた時彼は隠していた異能を使って、銃弾の雨を全て其の体で受けた。
『出動の時に無理すんなよって言ったのはお前だろうが…』
毎日が誰かの命日。
毎日、毎日、毎日大切な誰かを失った。
当時11歳の僕は毎日、目を真っ赤に腫らした。
そして、最期の一人________
神失 葉蔵は神様みたいな良い子だった。
でも、感情をどこか失っていた。
「お、ざき・・・幹部、お願いですから、泣かないで下さい。」
彼の�茲に僕の涙が落ちる。
「幹部、笑って下さい。お願いです。」
彼の泣きそうな顔が脳裏に何時迄も張り付いている。
彼の胸から流れ出して止まらない血。
それが僕の両手にベットリとついた。
_______あ、もう助からない。
僕は結局、誰一人として守ることは出来なかった。
最期の一人・・・もうこれ以上、誰も、誰も、失いたくない。
彼の目を真っ直ぐ見つめ、無理矢理笑顔を作る。
『ありがとな。葉蔵。』
「これからも、ずっと笑って下さいね…」
小指を差し出される
それを自分の小指で強く、握り締める。
『分かったよ』
彼はふっと笑った。
また消える・・・火が消えてしまう。
『でもやっぱり・・・』
僕の握っていた指が、力なく、するりと床に落ちて、血溜まりに沈んだ。
『独りぼっちは淋しいよ』
葉蔵の唇が「ごめんね」と動く。
温もりの失せた其の体に顔を埋め、強がりをやめる。
『往かないでよ_____!!!独りにしないで!
なんで、なんで皆僕の前から消える?!
また君もそうやって僕の前から消えるんだ!
鈴も、駿も、唯吹も君も、皆!皆!消えるんだ!』
半狂乱になって叫ぶ。
『誰か___________僕を独りにしないで』
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枯百花無常白谷奇譚(ルイネ)(プロフ) - リュカさん» 逝ってらっしゃい (2018年8月18日 12時) (レス) id: effc5cebea (このIDを非表示/違反報告)
リュカ(プロフ) - 枯百花無常白谷奇譚(ルイネ)さん» また時間ができたら見てきます! (2018年8月18日 12時) (レス) id: 7e46b4dcb5 (このIDを非表示/違反報告)
枯百花無常白谷奇譚(ルイネ)(プロフ) - リュカさん» 描いた、とりま設定だけだけど (2018年8月18日 11時) (レス) id: effc5cebea (このIDを非表示/違反報告)
リュカ(プロフ) - 枯百花無常白谷奇譚(ルイネ)さん» ワクワク (2018年8月18日 11時) (レス) id: 7e46b4dcb5 (このIDを非表示/違反報告)
枯百花無常白谷奇譚(ルイネ)(プロフ) - リュカさん» 頑張ってます (2018年8月18日 10時) (レス) id: effc5cebea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:chizome | 作成日時:2018年4月29日 17時