on stage. 第2幕 (ページ6)

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やあこんにちは諸君。
デートの話、聞きたい？私は別に話したくない。

…いや、まあ。実際のところ、つつがなく終わった。はい。
よく、樹といるとこ見られたとか、服買いに行ったのバレて拗ねられちゃうとか、あるでしょ。なーんにもなかった。

うん、だからつまり…取り立てて話すこともなかったわけ。

普通に駅で待ち合わせて、映画見てご飯食べてゲーセン行って、ちょっと買い物して、解散。以上。
デートと銘打ってはいるけど、友達と遊ぶのと遜色ない。そんなもの、だと思う。期待させた？ごめんごめん。

ああ、肝心の服ね。特に、別に何も。うん、なんにもなかった。
まあ、よほどトンチキな服でもなきゃ普通はわざわざ言及しないよね。大我も当たり障りない感じのセットアップで、少し大人びて見えたけどよく似合っていたし。

…はい、本当にこんなもんです。学生のデートなんてこんなもんだよきっと。この話おしまい！解散解散！

大きなため息が出る。もっと可愛い事言えなかったのかなとか、彼女らしい振る舞いできたんじゃないかとか。彼女らしい、が何かは分からないけど。

次こそはリベンジしなくちゃな…とぼんやり思いながら、映画の半券を仕舞っておこうと引き出しを開けた。

「……あれ？」

知らない手帳が1冊。安くはなさそうな、無地の表紙で少し厚手の。スケジュール帳だろうか。

頭の中で警鐘が鳴っている。ダメだと言われている気がする。それなのに、見なければいけない気もしてそれを手に取る。

めくった表紙に、何か紙のようなものが挟まれているのを見つけた。一体、これは──────