on stage. 第2幕 (ページ4)

今日:5 hit、昨日:3 hit、合計:5,451 hit

. ページ4

「ところで付き合ってもらって悪いんだけどさ、私の服の趣味と大我の服の趣味と樹の服の趣味、全部違うんじゃないかって説があるんだけど」
「おお、気づくの遅くね？」
「参考までに樹の趣味は？」

そう聞けば、周りに軽く視線を巡らせて、あれ、と目線で訴えてくる。同じ方向に目をやれば、露出多めの2人組のギャルっぽい女性。

「さいってー…」
「はぁ！？好みくらい関係ねぇだろ！そういうAはどうなんだよ」
「私？えー………あれとか」

ジーパンにパーカー、無地のキャップ。カジュアルな感じって言うの？ほぼこんな感じの誰でも似合いそうな服しか着ないからよく分からないけど。

「いやぁ…いくらなんでも地味すぎだろ」
「失礼しちゃうんですけど？」
「それだけ髪伸ばしてるならもうちょい色々やればいいじゃん」
「めんどい…し、遊ぶような知り合いとかもあんまりいなかったから」
「ふーん。ところできょもの好みってどんなんなの」
「え？」
「は？」
「樹知らないの？」
「は、知らねぇけど。聞いてきたんじゃねぇの？」
「聞いてたら自分で買いに行くけど。自分でわかんないから樹呼んだのに」

長い沈黙。やってしまった。さて、ここからはノーヒントで買い物しなきゃならないということ。服なんて無限択なのに？うそお。

「……ま、なんとかなるべ」
「…うん」

立ち並ぶ服屋のテナントたちを前に、お互いに目を合わせて苦笑した。