on stage. (ページ9)

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「ありがとうございました……明日もよろしくお願いします………」

みんな心なしか疲れた顔をして、帰路に着く。
端的に言えば、とんでもなかった。子供たちのパワーを舐めてた私らが悪いと言えば悪いが。

朝、子供たちの前で自己紹介をした後はひたすら遊んだり、給食後の歯磨きを手伝ったり、お昼寝を見守ったり。おおよそそんな感じではあったけど、まあ遊ぶ時間の疲労が凄かったのだ。休む暇がない。常にフル稼働の子供たちは、午前散々遊んだくせに昼寝したら体力全回復だったようで午後にももう一度散々遊ばされた。これが3日間続くのか…と思うとげっそりする。

全員途中までは帰路が同じ。駄弁りながら歩いているのを聞き流しつつ、足を何とか動かす。実習中はバイトに休みを貰っててよかった。

「、、…、……」
「なにそれ、何の曲？」
「へ？」

無意識に鼻歌を歌っていたみたいだ。京本に覗き込まれて驚いて立ち止まったせいで、真後ろにいた髙地が私の背中にぶつかった。

「いって！」
「うわ、すみません」
「で、何の曲なの？」
「いや…無意識だったから何の曲か気にしてなくて。」

こういうの、といってフレーズを口ずさむ。耳に馴染みはある。どころか、なにか頭に浮かびさえする気がするのに、

「…わすれた」
「なんだそれ」

音は覚えてるのに歌詞は出てこないし、曲名は愚か誰の曲かもわからない。慎太郎が俺も聞いたことある！けど分かんねー！と騒いでいるのを、変なの、と笑ってその場はおわった。

始業式のあの日から、少しずつある違和感が拭えないままだ。でもその違和感が何なのか、分からずにいる。何かが決定的に違うはずなのに、それがどこにある違和感なのかも分からず、日常を浪費している。作りものみたいに綺麗な夕方の空を見上げて、ただため息をついた。